怖い話 長編 まとめ。 【超閲覧注意】洒落にならない「怖い話」まとめ…最強レベルの短編怪談

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怖い話 長編 まとめ

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【厳選】怖い話【長編】

怖い話 長編 まとめ

知人の息子が修学旅行の初日、夜寝る前に先生から聞いた話です。 その先生の知り合いが見た夢の話らしいのですが、真実かどうかは定かではありません。 ---------------------------------------- 目が覚めると、ひんやりと涼しく、今にも切れそうな裸電球が一つだけの殺風景な部屋にいた。 真っ白いベッドから身を起こす。 何処にいるのかを把握するのに時間はかからなかった。 ここは、遺体安置室だ。 私は死んだのか? そう思い、胸に手を当てる。 『ドクン。 ドクン。 ドクン』 動いている。 紛れも無く生きている。 安心した私は、周囲を見渡す。 遺体安置室には、ベッドが全部で三つあった。 他のベッドにも誰か寝ているようで、 ひざ上から頭のてっぺんまで真っ白いシーツを被せられている。 寝ているのを起こすのは迷惑だと思い、あえて声はかけなかった。 『カラン』 ベッドから降りた時、足下で何かに当たった。 それはベッドに掛けられたプレートのようなものだった。 プレートには私の【名前】がフルネームで書かれ、読み仮名も振られていた。 他のベッドにも同じようにプレートが掛かっていたので、 気になった私は他のプレートも確認した。 真ん中のベッドには【ねじりお】、その隣のベッドには【ねじりこ】と書かれていた。 これは名前なのか? 予想とだいぶかけ離れた名前に驚いたが、 とにかく家に帰りたかった私は部屋に一つだけあるドアに向かった。 『ガチャガチャ』 開かない。 鍵が掛かっているようだ。 その時、急に頭が重くなり、意識が飛びそうになる。 身体が動かなくなった。 金縛りだ。 『ガサガサ。 ガサガサ。 』 背後で物音がした。 かろうじて首だけは動かせたので、横を向くと、背後が視界に入った。 ベッドを見ると、【ねじりお】と【ねじりこ】が同時に上半身を起こした。 薄暗いので表情までははっきりとは見えなかったが、私を見ているのは間違い無かった。 二人とも、髪の毛は無く、まるでデパートに置かれたマネキンのようだった。 衣類は一切見につけておらず、まるで骨と皮だけのような身体は拒食症患者のように見えた。 『カラン』 【ねじりこ】が立ち上がった際、プレートに足がぶつかったようだ。 私はもちろん【ねじりお】も立ち上がるのだろうと思ったが、違った。 【ねじりお】はベッドの両端を両腕で掴むと、身体をゆっくりとねじり始めた。 『ボキボキ、ゴリゴリ』 とても鈍い嫌な音がしたが、それでもねじるのを止めない。 上半身は一回転し、動きが止まった。 上下に分断された胴体からは、臓物が流れ出し、 真っ白だったシーツはみるみるうちに変色していった。 『ドサッ』 【ねじりお】の上半身がベッドから落ちた。 死んだのか?一瞬そう思ったが、動き出した。 両腕の力だけで起き上がる様は【テケテケ】を彷彿させた。 それにしても痛々しい。 頭から落ちたのが原因だろうか、首が真横に折れ曲がった状態で私を見ている。 「イチニツイテ!」 突然【ねじりこ】が声を発した。 「ヨーイ!」 まるで運動会の競技で走り出す瞬間のように【ねじりこ】がポーズを取る。 「ドン!」 物凄い勢いで【ねじりこ】が私に向かって走り出した。 その間【ねじりお】は這いずりながらゆっくりと私に近づいてくる。 胴体から得たいの知れない臓物が垂れ流され、這いずった床は汚く変色した。 私は一瞬のうちに【ねじりこ】に抱きしめられた。 太もものあたりを掴まれ、振り払おうにも金縛りが解けず、身体が動かない。 足下を見ると、いつの間にか【ねじりお】が私の両脚に腕をかけている。 【ねじりお】と目が合った。 目があるべきはずの部分は空洞になっており、ミミズのような生き物がもぞもぞと蠢いている。 【ねじりお】は両腕を匠に使い、私の身体を徐々に上ってくる。 私の目の前に【ねじりお】の顔が来た。 唇を合わせてくる。 嫌な臭いと共に、口の中に嫌な味が広がる。 動いている。 口の中で得体の知れない何かがもぞもぞと動いている。 想像したくもなかったが、恐らく【ねじりお】の眼窩に入っていた ミミズのような生き物を口移しさせられたのであろう。 【ねじりお】の口が私から離れた。 すぐさま口の中の異物を吐き出そうとしたが、口が開かない。 吐き出そうにも吐き出せず私は口内の異物を一気に飲み込んだ。 「イッセーノーセッ!」 再び【ねじりこ】が大声をあげた。 何が起こるのか見たく無かったが、自分の意思で目を閉じる事が出来ない。 【ねじりこ】は私の腰のあたりを掴みながら、右方向にゆっくりと回りだした。 【ねじりお】は私のお腹のあたりを掴みながら、左方向にゆっくりと回りだした。 まるで雑巾絞りのように私の身体をねじり始める。 視線が部屋を一回転したところで動きは止まった。 『ドサッ』 床に投げ出された私は目の前の光景に唖然とする。 私の上半身があるべき場所には【ねじりお】の上半身が置かれていた。 【ねじりこ】は裁縫箱から針と糸を取り出し、私の下半身と【ねじりお】の上半身を縫いつけた。 『ペタペタペタペタ』 私の両脚が足踏みを始めた。 私ではなく今はもう【ねじりお】の両脚と言うべきか。 【ねじりお】は遺体安置室の外周をくるくると歩き回り始めた。 『ガツッ…ゴツッ、ガツッ』 目が見えていないのであろう、全身をあちこちぶつけていた。 その時、急に視界が塞がれた。 【ねじりこ】が私の両目に手をあてているようだ。 次の瞬間。 『ブチブチブチブチ』 【ねじりこ】は私は両方の目玉を握り、ゆっくりと引きちぎった。 再び、裁縫箱を開ける音がした。 おそらく【ねじりお】に私の両目を縫い付けているのであろう。 『ガチャ』 数分後、遺体安置室のドアを開ける音と、二人分の足音がした。 真っ暗闇の中、取り残された私は両腕の力を振り絞り、 部屋から出る為にベッドの上の【ねじりお】の下半身を探したが、見つける事は出来なかった。 ---------------------------------------- この夢を見た二週間後、先生の知り合いは交通事故で亡くなりました。 遺体の上半身は真後ろを向き、かろうじて皮一枚で繋がっていたそうです。 まるで【絞られた雑巾】のように。 この【ねじりお】と【ねじりこ】が出る夢はいくつかパターンがあるようですが、 何処を絞られるかは分かりません。 また、助かる方法も分かりません。 この夢を見てしまった貴方に出来る事は以下の二つだけです。 ・何もせず、一人で夢と同じ末路を迎える。 ・【ねじりお】と【ねじりこ】の話を広め、道連れを増やす。 貴方ならどちらを選びますか? 私はもちろん… 私の家は経済的に裕福な方ではなく、大学は奨学金を利用してなんとか入ることが出来たが、 生活費はすべてアルバイトで稼ぐしかなかった。 バイトの掛け持ちは当たり前、大学にいない時間の殆どがバイトで費やされた。 大学生というと遊んでばかりというイメージがあるだろうが 、私はその例に漏れるという苦学生だった。 アルバイトの中でも特に時給がよかったのが居酒屋のバイトで、 厨房で準社員なみの働きをしていたのでそれなりの給金をもらっていた。 ただ、そのぶん帰るのは閉店後、レジを閉めたりした後なので いつも最終電車に乗って帰っていた。 繁忙期の頃になると終電を逃して店の中で一晩過ごすというのも珍しくなかった。 居酒屋のバイトというのは過酷なものだ。 地方都市の最終電車となると、乗っている人間は数えるほどもいない。 私はゆうゆうと座席に座ると、目を瞑ってしばらく眠ることにした。 タタン、タタン、タタン。 規則的な線路を走る音に微睡み、沈むようにして眠った。 どれほど寝ていただろう。 がたん、と大きく揺れた音に目を覚まして、慌てて時計を見ると、 いつの間にか三十分以上の時間が経っていた。 乗り過ごした、そう思って窓の外へ目をやり、私はようやく異変に気がついた。 真夜中だった筈なのに、どういうわけか窓の外の景色は夕暮れに染まり、 どこまでも田園風景が広がっていた。 一瞬、私は夢でも見ているのか、と思ったが、 腕時計の時刻は既に日をまたいでしまっている。 携帯電話を開くと、当然のように圏外になっていた。 「どうなっているんだ。 これは」 私は混乱し、とにもかくにも席を立ったが、私の他には誰も乗っていなかった。 私は不安に背筋が震えながら先頭車両まで歩き続け、結局、一人の乗客も見つけられなかった。 窓の外に目をやると、相変わらずの田園風景が延々と続いている。 地平線の彼方に山岳が見え、景色はどんどん背後へと流れていった。 私は車掌に話を聞こうと運転席を覗き込んだが、 そこには車掌服を着た何かが立っているだけで、微動だにしない。 私はそら恐ろしくなり、先頭車両から逃げ出すように、後部車両へと走った。 私は車内の掲示板を探しまわり、ようやく路線図を見つけた。 いったいここが何処なのか、それを確かめるにはこれが一番だと思ったのだ。 だが、そこには私の知っている駅名は一つも載っていなかった。 駅名は一番右手から『暁』『尼ノ原』『如月』『東雲』『沼の淵』 『西野宮』『百日紅』『山王』『牡馬ヶ崎前』とある。 いったいどこを走っているのか、まったく検討もつかない。 ただ、この路線図が正しければ、『牝馬ヶ崎前』というのが終着駅なのだろう。 とにもかくにも、どこかの駅で降りて事情を聞いてみるしかない。 ここが何処か聞いてみればいいのだ。 しばらくすると、電車が徐行を始めた。 アナウンスが入りはしないかと期待したが、 なんのアナウンスもなく、ついに電車は駅に停車した。 開いたドアから私を顔を出し、ホームの様子を観察した。 古びた駅舎のホームには『牡馬ヶ崎前』とあり、私はここが終着駅であることを知った。 仕方なく電車を降りると、遠くから何か音が聞こえてくる。 「太鼓の音か」 夕暮れに染まる駅舎は木造で古めかしく、相当に古いもののように感じられた。 電灯もどこか古めかしくて、よくみるとどうやらガス灯のようだった。 「まるで明治か大正時代みたいだな」 私はホームの連絡橋を渡り、駅舎の中へと入っていった。 構内は夕暮れに染まって眩しいのに、どこかもの寂しい空気が漂っていた。 あちこちに彼岸花が咲き、骨董品のようなスピーカーからは ひび割れた「ふるさと」のメロディが流れてくる。 そういえば、私は切符を持っていなかった。 もともと駅で買った筈の切符はある筈なのだが、どれだけ探しても切符は出てこなかった。 私は駅員に事情を説明しよう、と思い、改札口へ急いだが、 そこには駅員はおろか誰の姿もなかった。 私は駅員室のドアを叩き、返事を待ったが、いくら返事を待っても応答がない。 思い切ってドアを開けると、事務室然とした部屋には誰もいなかった。 ただ、まるでついさっきまで仕事をしていたかのように、 灰皿の煙草は煙を上げ、換気扇はくるくると回っている。 ラジオからは濁ったような音が漏れ、帰り支度をしている誰かの鞄が机の上に出ていた。 「あの! 誰かいらっしゃいませんか!」 大声をあげてみたけれど、返事はない。 私は電話を借りようと電話を探した。 それぞれの机の上には一様に同じ黒電話があり、 私は一番手近な場所にある黒電話の受話器を取り、とにかく自宅へと電話をかけることにした。 友人の携帯の番号も携帯電話には登録されているのだが、なぜか親に電話をしたくなったのだ。 コール音がしばらく続き、ようやく電話が繋がった。 「あ、もしもし」 『はい。 どちら様でしょうか』 母の声だった。 私は本当に繋がった、と思い、すっかり安心してその場に膝をついた。 「もしもし。 私の記憶の中の母は厳しい人で、あまり感情を表に出すような人じゃなかった筈だ。 そうだけど、なに、どうしたの」 『お前こそどこで何をしてる! どれだけの人に迷惑をかけたか分かっているのか!』 意味が分からない。 話が見えない。 いったい何を言っているのか。 「いや、なんか気がついたら違う電車に乗っててさ。 今、終点の駅に着いたところなんだけど、わけわかんなくって」 『いいから、とにかく帰って来い。 みんな、お前のことを』 ぶつり、と音声が途切れる。 「親父? おい、親父!」 ぶつっ、ぶつっ、ぶつっ、と途切れる音が続く。 そして、にわかに『ふるさと』のメロディが受話器から響き始めた。 「うわっ」 あまりの音量に顔を背ける。 受話器のスピーカーが割れそうなほど響く『ふるさと』のメロディに恐ろしいものを感じ、 叩き付けるようにして受話器を戻した。 「なんなんだ、いったい」 私はもう一度、電話をかけようかと思ったが、そら恐ろしくなって辞めた。 なんとなく、もう繋がらないのではないか、という予感があった。 それに、もしもまったく知らない場所に繋がってしまったらと思うと恐ろしかった。 駅員室を出て、無人の改札を通り過ぎる。 無賃乗車をするというのも気まずいので、料金表を見上げると、なんだかよく分からない。 円ではなく、単位が銭で表示してあるのだ。 例えば『暁』から『西ノ宮』までが七十銭とある。 いったいここは何処なのだろう。 私は混乱する頭を必死に落ち着かせながら、ふらふらと頼りない足取りで駅舎を後にした。 私は駅舎を離れてそこらを散策するしかなく、 なにか手がかりになるものはないかと注意深く観察した。 ここは私がいた世界とは何かが傾いでいるように思えてならなかった。 特に時間は明らかに異常で、どれだけ時間が経っても夕暮れ時が終わらない。 おかしいな、と思って太陽の位置を見ていたら、太陽はおろか雲ひとつ動いてはいなかった。 そして、どういうわけか時計の針が前触れもなく止まってしまった。 電池が切れたというよりは、動かなくなったとでもいうべき止まり方だった。 道はまったく舗装されておらず、街灯の類も見当たらない。 民家はおろか、駅舎の他には建物らしい建物はなになかった。 見渡す限りの畑、そして深い森が遠くに見えるばかりだ。 私はあぜ道を彷徨いながら、一向に沈む気配のない夕焼けを眺めた。 ふ、と気がついて空を見上げると、ひときわ大きな夕月が出ている。 遠くから響き続ける『ふるさと』のメロディに私は気がおかしくなりそうだった。 あてもなく彷徨う、というのがどれだけ苦痛か、私は思い知らされた。 やがて、私はとうとう歩けなくなり、畑の畦に腰を下ろして動けなくなった。 時計も動かず、太陽も沈まない。 ここにやってきてからいったいどれほどの時間が経ったのか、まるで想像もつかなかった。 不思議と空腹は感じない。 喉も乾きを覚えていない。 ただ、まとわりつくような疲労感だけがあった。 このまま目を閉じて、眠ってしまえばこの悪夢から覚めるのではないか。 私はあの最終電車に乗っていて、自宅へ帰る途中ではないのか。 これは悪い夢だ、そう思おうとしたが、目の前の光景は現実としか思えなかった。 「何処なんだよ、ここは」 ふ、と背後でなにか気配を感じた。 振り返った私は、思わず悲鳴をあげそうになった。 そこには、いつの間にか二人の小さな子供が立っていた。 麻の着物をいた女の子らしき二人の子供は、なぜか顔に狐のお面をつけていた。 祭りの縁日で見かける、あの不気味な紙の面だ。 おかっぱ頭に狐の面という異様な格好に思わず眉をひそめた。 「な、なんだ?」 二人の子供は何も言わず、ただ私の顔を凝視している。 近所の子供だろうか。 「ええと、君たちはこのへんの子かな?」 二人は答えない。 狐の面の内側でいったいどんな表情をしているのか、 まるで分からなかった。 「教えて欲しいんだけど、ここはなんという土地なのかな。 なんだか迷い込んでしまったみたいなんだ」 すると、二人の少女は私の手を引いた。 私は驚いたが、どうやら何処かへ案内してくれるようなので、 このままここにいても仕方ないと思った私は、彼女たちに手を引かれるまま歩いた。 彼女たちは私を森の方へと手を引いていく。 そのうち、遠くで聞こえていた太鼓の音が次第に近づいて来た。 おまけに笛の音や誰かの歌声まで聞こえる。 「祭りでもあっているの?」 私がそう尋ねると、二人は頷いて、私をぐいぐいと音の聞こえる方向へと連れて行く。 山の麓までやってきた私の目の前に、奇妙な鳥居が現れた。 普通、鳥居というのは柱が横に二本、 そして縦に二本という形の筈なのだが、この鳥居はなんだかおかしい。 縦に二本の柱が建ち、その二本の柱を繋ぐようにして麻縄でがんじがらめに縛られているのだ。 まるで蜘蛛の巣のような有様は、なんだか気味が悪かった。 鳥居をくぐると、今度は延々と急勾配の石段が続いた。 私は二人に手を引かれながら、ふぅふぅ、と息をつきながら登り続けた。 これでも体力には自信があるほうだったが、あまりの急勾配に息が続かない。 子供たちはそんな私を急かすでもなく、無言で私を視ていた。 「ごめん。 少し休憩させてくれ」 私はそういって石段に腰を下ろした。 頂上付近から祭り囃子が聞こえてくる。 石段からの光景はとても美しかった。 相変わらずの夕焼けの景色の中に、田んぼがどこまでも続いている。 水を張った田んぼは鏡のように夕焼け空を映して美しかった。 木立からは西日が漏れ、ひぐらしが鳴いている。 とんとん、と肩を叩かれたので振り向くと、少女の一人が私にお面を差し出していた。 紙で作られた犬のお面で、被ってから紐で括るというものらしい。 「これをつけろっていうのか?」 少女たちは頷き、それから私の顔に犬のお面をつけてくれた。 私はお面というものを初めてつけてみたけれど、これはかなり視野が狭い。 ほとんど正面しか見えず、自分の吐く息が顔にかかって気持ちが悪かった。 「ありがとう。 でも、外させてもらうよ」 そういって取り外そうとした私の手を、少女が掴んで止めた。 だめ、と短く言う。 「どうして?」 ここではお面をつけていないとダメだから、ともう一人が言う。 私は奇妙に思ったが、ここは彼女たちの言う通りにしておくべきだと考え直した。 私は再び立ち上がり、彼女たちに手を引かれて歩き出した。 案内しているのか。 迷わせようとしているのか。 しかし、不思議と怖いとは思わなかった。 それどころか、ここの景色はどこか懐かしいとさえ感じさせるのだった。 やがて、長い石段が終わり、急に開けた場所に出た。 そこには大勢の人間が集まっていて、中央の櫓を囲むようにして踊っている。 櫓では太鼓が叩かれ、にぎやかに笛が奏でられる。 これは夏祭りの光景だった。 そして、この場にいる誰もが面を被っていた。 男も女も、老いも若いも、誰もがなんらかの動物の面を被っていて、素顔を見せていない。 私をここまで連れて来た二人が急に手を離し、祭りの喧噪のただ中へと駆けていって消えた。 私はぼんやりとしながら、祭りの様子を遠巻きに眺めた。 アンタ、どこから来たんかい、と急に背後から声をかけられた。 振り返ると、着物をきた老齢の女性が私を見ていた。 鳥のお面をかぶっている。 「電車に乗っていたら、いつのまにかこの町についていました。 ここは何処なのですか」 すると、女性はからからと笑った。 そして、ここは何処でもありゃしない、と奇妙なことを言った。 「何処でもない、という場所なのですか」 そうじゃない。 ここは、何処でもないんだ、という。 「わかりません。 ここは、何処なんです。 日本の何県ですか?」 頭の固い人だね、と笑う。 「……私は、死んだのでしょうか」 私はずっと気がかりだったことを口にした。 もしかすると、私はあの電車に乗っている間に事故に遭い、死んでしまったのではないか。 ここは天国とかそういう場所じゃないのか。 そういう考えがあったのだ。 「ここは、死後の世界なのでしょうか」 老女はお面の奥で目を細めた。 知らない方がええこともあるさね、と言って立ち上がり、 彼女もまた祭りの喧噪の中へと消えて見えなくなってしまった。 私は座り込んだまま、祭りの光景を呆然と眺め続けていた。 楽しげに踊るお面をつけた人々。 提灯の明かり。 揺らめく松明の炎。 腹のそこに響くような太鼓の音。 そうだ。 これは夏祭り、盆踊りだ。 そういえば、こんな話を聞いたことがある。 本来、盆踊りというのはあの世から帰ってきた故人たちと踊るもので、生者か死者か区別がつかないように、お面をつけて踊るのだと。 そうか。 ここはそういう場所なのだ。 やがて、お囃子のリズムに乗って踊るその様子に、私はなんだか誘われるようにして立ち上がり、その輪の中に加わった。 輪の中に入った私を誰もが歓迎してくれた。 手取り足取り、踊り方を丁寧に教えてくれ、私はなんだか楽しくなって踊り続けた。 お面をつけた人々の輪。 お面の形もそれぞれ、誰も彼もが人の顔をしていない。 そして、それは私も同じだ。 踊っているうちに、私は幾つかの発見をした。 踊っている人々の格好はよく見ればまちまちで、殆どの人が古い着物のようなものを着ているのに、少数ではあるけれど洋服を着ている人もいるのだ。 おまけに、踊っている人の中には明らかに人の形をしていない者も混じっていて、驚いたけれど、とりわけ何をするでもなく踊りに加わっているので気にしないことにした。 しばらくそうして踊っていたけれど、疲れてしまったので踊りの輪から外れて荷物のところへ戻ったが、どういうわけか荷物が見当たらない。 「困ったことになったなあ」 そう口にしてはみたものの、それほど困ったとは思っていなかった。 なんだか酷く現実感がないのだ。 もうどれだけここにいるのか判然としない。 時間の流れ方がおかしい。 荷物の中には財布や携帯電話が入ってある。 しかし、この場所でそんなものが役に立つのか。 ここには何もないじゃないか。 私は鳥居から、山から見える光景を眺めた。 水の張られた田んぼに反射して、世界は夕暮れに染まっている。 それは言葉を呑むほど美しい光景だった。 ここでは永遠に逢魔が時なのだ。 誰そ彼というわけである。 私はあちらの世界のことを思い出そうとして、結局もうなにひとつ思い出せなかった。 なんだかとても忙しくて、時間に追われていたような気がする。 何もかもが雑多で騒々しく、美しさなんてこれっぽっちもありはしなかった。 私はふいに、お面を外したくなり、顔の後ろの紐に手をかけた。 ダメだよ。 解いたら。 そんな声が聞こえた瞬間、お面の紐が溶けるようにしてほどけた。 犬の面が顔から落ちる。 その瞬間、私の目の前は真っ暗になり、そうして意識が遠のいていった。 辺りはすっかり暗く、遠くから繁華街の喧噪が聞こえてくる。 電灯が明滅し、掲示板にはどこかで見たような駅名が表示されていた。 私は少し考えて、そこが私が出発した駅の名前であることを思い出した。 どうやら戻って来てしまったらしい。 どうして、と考えていると、不意に誰かが私を見つけて駆け寄ってきた。 なんだか若い男だった。 「ちょっとお客さん! どこから入ったんですか! もうとっくに閉まっているんですよ!」 どうやら駅員らしいので、私は事情を説明しようとしたが、 口からこぼれたのは言葉とはほど遠い呻き声のようなものだった。 私は言葉を忘れてしまったらしかった。 「困るなあ。 早く出て行ってください。 ほら、こっちですよ」 駅員に連れられながら私は違和感に気がついた。 なんだか私の知っている駅と少し違うような気がしたのだ。 なんだか少し大きくなっているような気がした。 「どうした? なんかあったのか」 そう聞いて来たのは年配の駅員で、若い駅員は、 私がどこからか忍び込んだらしい、と説明した。 しかし、年配の駅員が私の顔を見た瞬間、顔色が一変した。 「嘘だろう。 そんな、まさか」 飛び込むように駅員室へ飛び込むや、一枚の古めかしいポスターも持って駆け戻って来た。 そこには私の顔写真が映っていた。 「やっぱり。 間違いない。 本人だ。 いや、でもまさか、どうして歳をとっていないんだ?」 「坂崎さん。 なんなんですか、それ」 「この人は、十二年前に神隠しに遭ったって噂になった人だよ。 大城、急いで警察に電話しろ。 大ごとだぞ、これは」 私はなんだか事態が把握できず、この坂崎という人に案内されるがまま応接室に通された。 お茶を出してもらったのだが、口にすると思わず吐き出しそうになった。 お茶の味も思い出せない。 酷く気分が悪かった。 「あなたは十二年前に電車のなかでいなくなったんです。 映像が残っていました。 現代の神隠しだのなんだのと随分と騒ぎになったんですよ。 私も信じてはいませんでしたが、実際あなたは十二年前の写真とまったく変わっていない」 私は驚いて、応接室の壁にかけられてあるカレンダーに目をやると、 確かに十二年の年月が過ぎているらしかった。 しかし、酷く現実感がない。 「警察がまもなく到着するでしょうが、お聞きしてもいいでしょうか。 あなたはいったい何処にいたんですか?」 私は答えようとして、言葉を忘れてしまったことを思い出した。 どちらかというと、口が話すということを忘れてしまったようだった。 私は筆談にしようとペンを借り、紙に文字を書こうとして途方にくれた。 「なんですか。 それは?」 私は日本語を書いたつもりなのだが、 紙の上にはなんだかよくわからない模様の羅列が並んでいた。 私は首を傾げ、再び書き始めたが、いっこうに文字にならない。 そんな私の様子を見て、坂崎さんは顔を青くした。 「もう結構です。 無理をいってしまって申し訳ない」 それきり貝のように押し黙って俯いてしまった。 時折、顔をあげて私を伺うようにして見て来たが、 それは恐ろしいものでも見るような酷い目つきだった。 マスコミが騒ぎ立て、連日ニュースに私のことが報道され、 自称霊能力者だのなんだのが好き勝手に仮説を唱えていたが、 私のことを理解している人間は誰もいなかった。 あの後、私自身はすぐに警察に保護され、 精神状態が不安定だと一方的に決めつけられて大きな病院に入院させられた。 私は自分が正常であることを証明する為に幾つかのテストに参加したが、 どんなに注意しても文字が書けず、私は異常者のレッテルを貼り付けられてしまった。 入院した私の元に最初にやってきたのは警察官だった。 刑事だという二人の男から事情を聞かれたが、私は頷くか首を振るかしか出来ず、 しばらくすると全く来なくなった。 次にやってきたのは私の両親だったが、これにはさすがにショックを受けた。 とうに祖母は亡くなり、父も母もめっきり老け込んでいた。 十二年という年月がどれだけ重いものか、ようやく私は理解したのだった。 私はもうここの人間ではなくなっていた。 私はここにいるだけで異質なのだ。 両親は私のことをずっと探していたといい、 それから私に幾つかの質問をしたが、私はどれも答えられなかった。 最期に、父が私を恨めしそうに見ながら告げた。 「なんで、お前は歳をとっとらんとや」 その一言が、帰って来てしまった私への本音を物語っていた。 以来、私は両親との面会を拒絶するようにした。 友人たちの反応も似たようなものだった。 病院の医師やカウンセラーたちも私の診断や、カウンセリングを行いながら怯えていた。 もちろん私は暴れたりしない。 いつもぼんやりとしているだけだ。 それだけなのに、彼らは私を遠巻きにする。 精神病と診断された人々でさえ、私が来ると怖がって遠ざかっていった。 浦島太郎はこんな気持ちだったのだろうな、と思うとなんだか親近感が湧いた。 あちらは玉手箱を開いて老人になったというが、一説には鶴になって飛び去ったともいう。 私は鶴になった浦島太郎は、またあちらに帰っていったのではないかと思う。 私も彼のように、あちらに帰りたかった。 こちらはあまりにも騒がしくて落ち着かない。 刺々しく、攻撃的で、拒絶的なのだ。 若い医師の一人が、私に絵を書いてみたらどうか、と勧めて来たので、 試しに挑戦してみたらイメージしていた通りに絵が描けた。 これには私も驚いたが、なにより興味を示したのは医師たちだった。 唯一のコミュニケーション手段といってもよかった。 私は医師たちに尋ねられる内容について、絵を使って答えた。 あまり絵が上手ではない私も、あの美しい光景だけは心に焼き付いていたので、 私は毎日飽きる事なく、あちらの風景を描いた。 私はキャンバスに想いを塗り籠めるようにしながら、あちら側へ戻ることを切望した。 既に私はこちら側では異質でしかなく、帰る場所などないのだと痛感していたからだ。 郷愁にも似た感情に私は苦しんだ。 あちらに帰りたい。 さもなくば、私にはもう居場所がないのだ。 医師たちは私に社会復帰をしろ、というが、私はすでにこちら側の人間ではなかった。 家族も友人も社会も、何もかもが私を奇異の目で見る。 まるで、世界中で私ひとりだけが違う色をしているような、そんな感覚に襲われる。 私はもうこちらの住人ではない。 帰りたい。 飽きもせずに私の経歴からなにからを調べあげ、 嘘も真も入り混ぜて、私という人間をおもしろおかしく演出した。 当初、医師たちは私にテレビを見せるのを嫌がったが、 私が治療に協力する条件としてテレビの視聴を提示すると、なんなく視聴が可能になった。 マスコミの取材は当然ながら家族にも及び、しつこい取材に口が緩んだ両親は、 私のことを「あちらで取り替えられた」と吐き捨てるように証言した。 これには流石に涙が出た。 真実そうであったなら、どれだけよかったか。 そんなある日、マスコミが私に取材の依頼をしてきた。 医師たちは反対したが、私は自分の意志でそれに応じることにした。 ほんの少しでもいいから、マスコミの注意を私に向けたかった。 病院にやってきたマスコミたちは私をまるで動物園の人気者のように扱った。 許可も出していないのに容赦なく写真を撮られ、 流行りのタレントだの芸人だのが私のことを面白おかしく馬鹿にした。 彼らの目にあるのは怯えではなく、好奇心だった。 「十二年もどこにいたんですか」 「暇でしたよねー? なにしてたんですか?」 「記憶喪失ってホント? あ、話せないんだっけ」 「でも、歳をとらないのはラッキーじゃないっすかー」 私には彼らが、まるで違う星の生き物のように思えた。 私は取材の一環で誰もいない部屋に入り、そこをただ撮影するという実験につき合わされた。 まったくの茶番だ。 プロデューサーだという男の話によれば、 後からそれらしい心霊映像を重ねて面白くするという。 私は勝手にしてくれ、と思って部屋の中へ入った。 そこは六畳程の小さな和室で、ロッカーと鏡くらいしか物がない殺風景な場所だった。 私はここでぼんやりしていればいいらしい。 カメラが私を撮っているので、なんとも落ち着かなかった。 私はどうしてこんなことになったのか、ぼんやりと考えた。 そして、どうすればあちらに戻れるのか考えたが、やはり答えは出なかった。 もうこの世界に、私の居場所などないのだ。 「帰りたい」 呟いた私自身が驚いた。 言葉は自然と口をついて出たのだ。 ふいに、畳の上になにかが落ちて来た。 振り返ると、そこにはあの犬の面が転がっていた。 どうして。 こんな所に。 私は震える手で面を取り、うやうやしく顔につけた。 遠くであの太鼓の音が聞こえたような気がした。 紐をしめ、私はふらふらと立ち上がる。 なんだか懐かしい匂いがした。 音はロッカーの方から聞こえてくる。 次第に太鼓の音が大きくなる。 ひぐらしの鳴き声が聞こえてきた。 山の匂いがする。 誰かが私を呼んでいる。 私はロッカーを開けた。 そこには闇を固めたような濃い夜が充ち満ちていた。 微かに『ふるさと』のメロディが聞こえる。 おかえり。 ああ、聞き慣れた声だ。 闇の奥から、浮かぶようにして小さな白い手が二つ、 こちらへと伸びている。 これはきっとあの二人の少女のものだろう。 私は安堵の声を漏らした。 遠くで部屋のドアを激しく叩く音が聞こえたが、 私は振り向かなかった。 「ああ。 もう帰るよ」 最期に、私はカメラを見た。 二人の手に引かれ、闇の中へと歩みを進める。 背後で、ロッカーがひとりでに閉まる音を聞いた。 これは俺がまだ、学生だった頃だから もう、5年も前の話になる。 古い話で悪いんだが・・・ 当時、俺は八王子にある学校の近くのアパートで独り暮らしをしていた。 その日は、俺の部屋で友人と酒を飲んでいた。 いつもならクダラナイ話で何時間も盛り上がって いたのだが、その時は少し酒を飲み過ぎた為、俺も友人も 11時過ぎには寝入ってしまっていた。 何時間位経ったのだろ う? 突然、玄関で呼び鈴の音が聞こえた。 時計を見ると0時30分 を まわっていたが、俺は寝ぼけていたこともあり、飛び上がる ように 起きると、すぐに玄関の扉を開けてしまった・・・。 すると、そこには25~6歳位の グレーのトレーナーを着た男が立っていた。 「なんですか?」俺は訝しげに男に尋ねた。 「えぇ、そうですが?」なおも怪訝そうに答える俺に その男は、ユックリと落ち着いた口調で話はじめた。 「僕はこの地域の町内会長をしているものです。 実は、今しがたこの地区で殺人事件が起きました。 犯人は逃走中でまだ捕まっていません。 危ないですから 戸締りをキチンとして、今日は出歩くのを控えて下さい。 」 俺は、寝ぼけたままで 「はぁ、解りました・・・。 」と言うと玄関を閉めた。 そして、酒の酔いもまだ残っていたのでまた眠ってしまった。 翌朝、新聞でもニュースでも確認したが 近所で殺人事件など起きた話は載っていなかった。 友達は、「あんなに若い町内会長なんているかよ。 」 と不審げに言っていたが、そう言われてみれば、 夜中に警察でもない男が、近所にその様な注意をして廻る事自体が妙な話だった。 「なんだったんだよ、あいつは?」 その時は少し気味が悪かったが、 しばらくして、そのこと事態を忘れ てしまっていた。 ところが・・・ その2ケ月後に俺は、 その時の男を再度、目撃することになった。 ヤハリ、夜中の0時30分を過ぎたころだった 呼び鈴がなったのだ。 しかし、それは俺の部屋ではない 隣りの部屋だった。 1回、そして、2回、どうやら隣は留守 らしい。 だが、呼び鈴は再度、立て続けに鳴った。 「うるせぇなぁ。 」こんな夜中に それだけならして出てこなければ留守だろ! 俺は少し不機嫌になって、玄関の扉を半分開けた そこには、先日の男がヤハリ、 グレーのトレーナーを着てたっていた。 俺の扉を開けた音に気が付いて 男が振り向き、俺と眼があった。 俺は、少し気味が悪かったが、それ以上に腹も立っていたの で 「隣、留守なんじゃないですか?なんすか?」と不機嫌に言 った。 いえこの間の犯人なんですが、まだ、 捕まって居ないんですよ。 だから、捕まるまでは 近所の皆さんに、夜中は出歩かないように注意して廻って るんです。 」 俺はムッとして 「この間の朝、新聞もニュースも確認したけど そんな事件起こってないじゃないっすか!あんた誰だよ? 」 俺は語尾を荒げながら、その男に言ったのだが、男はひるぐ 様子もなく 「いえ、そんなことはありません。 それに、犯人はまだ捕まっていないのです。 とても危険です。 いいですか、夜中は出歩いてはいけませ んよ。 」 と逆に強く諭すように俺に言った。 男の眼が据わっていたこともあり 俺は少し背筋も寒くなり、「そうっすか。 」 と愛想なく言って、玄関の扉をオモイッキリ閉めて鍵をカケタ。 腹立たしい思いと、気持ち悪い気分が入り混じった なんとも奇妙な心持でその夜、俺は寝床についた。 そして、翌日に俺は背筋が凍る思いをしたのだ・・・ その日の朝のワイドショーでは 独身OLの殺人事件が取り上げられていた。 場所は、俺の住むすぐ傍のマンションだった。 寝込んでいたOLの家に空き巣に入った犯人が 物音に気づいたOLを殺してしまったのだと言う。 走り去る犯人の姿を 目撃者した人が語った犯人の特徴は 20代後半の若い男で グレーのトレーナーを着ていたと・・・・・・ 前の晩に俺の見た男の特徴。 そして話の内容に妙に重なって いたのだ。 俺が背筋が凍る思いをしたのは、 その夜になってからだった。 ヤハリ、夜中の0時過ぎに 玄関のベルが鳴ったのだ。 俺は、怖くて扉を開ける気にはなれなかった。 が、ベルは、1回、2回、3回となっている。 扉を開けずに俺が、玄関先で「誰ですか?」とたずねると 先日の男の声がした。 犯人はまだ逃走中ですよ。 戸締りはシッカリして下さいね。 」 その声で、俺はハッとした。 「窓、鍵を閉めてない・・・。 」 急いで、部屋の窓の鍵を閉めようとカーテンを開けると 玄関に居た筈の男が、窓の前に立っていたんだ。 グレーのトレーナーを着て・・・。 息を呑むという表現が、どんなものなのか、俺はその時はじ めてしった・・・。 鍵を閉めようと、腕を伸ばした瞬間、男が窓を開けた。 「だめじゃないですか、窓の鍵もしっかり閉めてください。 でないと、僕みたいのが、入って来てしまいますよ。 」 そう言って、男は不気味な笑みを浮かべた。 次の瞬間には、俺は悲鳴をあげて、玄関へとダッシュした。 玄関のカギを開け、アパートの廊下に飛び出し、 ドアも閉めずに一心不乱に走ったんだ。 だけど、背後から、男の声が聞こえて来たんだ。 それに夜中に出歩くのはとても危険です。 今すぐに引き返してください。 」 俺は半泣きの状態だったが逃げ続けた。 だが、男は俺の背後をぴったりとマークして、全くふりきる 事ができなかった。 それどころか、だんだん男との距離が、縮まりつつあった。 男は相変わらず、「危険です。 」や、 「早く戻ってください 」などを、大声で言い続けていた。 マジでもうだめかと思いはじめた時、希望の光が俺を照らしたよ。 そう、交番を見つけたんだ。 俺は最後の力を振り絞って、交番に飛び込んだ。 中には、驚いた表情の中年警察官がいて、 それを見て安心した俺は、その場に倒れ、そのまま気を失った・・・。 目を覚ますと、メガネをかけた若い警察官が俺を覗きこんでいたよ。 俺が目を覚ました事に気がついた若い警察官は、 さっきの中年警察官を連れて来た。 俺の体調が大丈夫だと分かると、なぜ急に飛び込んで来て、 急に気絶したのかと、聞いて来たから、 俺は事の経緯を話すと、一緒にアパートに来てくれる事になったんだ。 それから、俺は警察官と言う、たのもしい護衛を二人連れて アパートに戻った。 警察官達のおかげで、恐怖心はあまり無かったんだと思う。 ようやく、アパートに到着し、二階の自分の部屋に向かった。 部屋に向かう時の並びは… 先頭は、若警官 次に俺 最後に中警官だ。 (これが一番、 安全だと思ったんだ。 ) 部屋の玄関のドアも、若警官に開けてもらった。 (来た時は 、ドアは閉まっていたから。 ) 若警官が中を覗いたが、部屋には誰もいなかった。 中警官「どこか様子がおかしいところはあるかね?」 部屋を見回したが、いつも通りの俺の部屋で、特におかしい ところはなかった。 窓も確認したが、カーテンは閉められ、鍵も閉まっていた・ ・・。 中警官 「まあ、もうここは大丈夫だと思うから、心配するな。 後はこいつに任せる事にして、悪いが俺は先に帰らせてもら うわ。 何かあると困るから、いつでも来てかまわないからな。 それじゃあ、気いつけてな。 」 そう言ったかと思うと、中警官は、若警官を置いて、さっさと帰ってしまったよ。 それから、若警官と少し業務的な話をしてから、若警官も帰る事になったんだ。 若警官 「それでは、私もそろそろ帰らせていただきますね。 何かありましたら、先ほどお渡しした名紙の番号まで、ご連絡下さい。 」 わかりましたと言い、若警官を送り出そうとした時、 急に若警官の笑顔が無表情に変わった・・・。 若警官 「殺人犯はまだ捕まっていませんので、 くれぐれも夜 道を歩く際は気をつけて下さい。 それと、戸締りもしっかりして下さいね・・・。 鍵が無かったので、やむなくドアを閉めただけだったんです から・・・。 そして、若警官は今までの笑顔では無く、 気味の悪い笑顔を見せ、帰って行った・・・。 俺はそれから部屋の全ての鍵を閉め、玄関にはチェーンをし 、 テレビと電気をつけっぱにして、布団をかぶって、朝までガクブルしていた。 その後・・・。 夜にグレーのトレーナーを着た男はもう来なくなったが、 俺は二週間後ににはこのアパートを引っ越した。 学校も転校した。 そうして、今になるが、グレーのトレーナーを着た男が捕まったと言う話は聞かない・・・。 深夜十一時。 僕とSとKの三人は、その夜、地元では有名なとある自殺スポットに来ていた。 僕らの住む町から、二時間ほど車を走らせると太平洋に出る。 そこから海岸沿いの道を少し走ると、 ちょうどカーブのところでガードレールが途切れていて、 崖が海に向かってぐんとせり出している場所がある。 崖から海面までの高さは、素人目で目測して五十メートルくらい。 ここが問題のスポットだ。 もしもあそこから海に飛び込めば、下にある岩礁にかなりの確立で体を打ち付けて、 すぐに天国に向けてUターンできるだろう。 そしてここは実際にたびたびUターンラッシュが起きる場所でもあるらしい。 『道連れ岬』それがこの崖につけられた名前だった。 僕らは近くのトイレと駐車場のある休憩箇所に車を停め、歩いてその場所に向かった。 「そういやさ。 何でここ『道連れ岬』って言うんかな?」 僕は崖までのちょっとした上り坂を歩きながら、 今日ここに僕とSを連れて来た張本人であるKに訊いてみた。 「シラネ」 Kはそういってうははと笑う。 Sはその隣であくびをかみ殺していた。 「まあ、でもな。 噂だけどよ。 ここに来ると、なんか無性に死にたくなるらしいぜ?」 「どういうこと?」 「んー、俺が聞いた話の一つにはさ。 前に、俺たちみたいに三人でここに見物しに来た奴らがいたらしい。 で、そいつらの中で、一人が突然変になって、崖から飛ぼうとしたんだとよ。 で、それを止めようとしたもう一人も、巻き添え食らって落ちちまった」 「ふーん」 「……巻き込まれたやつはいい迷惑だな」 Sがかみ殺し損ねたあくびと一緒に小さくつぶやく。 眠いのだろう。 ちなみに、ここまで運転してきたのはSだ。 そういうスポットに行くときはいつも、オカルトマニアのKが提案し、 僕が賛同し、Sが足に使われるのだった。 「いや、実際いい迷惑どころじゃねーんだよな。 実際死んだのその止めに入ったやつ一人らしいし」 「はい?」 といったのは僕だ。 だってそれは理不尽と感じるしかない。 飛ぼうとした人じゃなくて、止めに入った人だけ死ぬなんて。 「詳しいことはそんなしらねえけどさ。 多いらしいぜ、同じような事件」 「ふーん」 と僕。 「……その同じような事件ってのは、どこまで同じような事件なんだ?」 興味がわいたのか、Sが訊く。 「うはは、シラネ。 あんま詳しく訊かなかったからなあ……お、そこだよ」 話しているうちに、僕らはカーブの、ガードレールが途切れている箇所まで来ていた。 そこから先は、僕らの乗ってきた軽自動車が横に二台、 ギリギリ停まれる程のスペースしかない。 近くに外灯があったけれど、電球が切れかけているのか、 中途半端な光量が逆に不気味さを演出していた。 ざん、と下のほうで波が岩を打つ音が聞こえる。 「誰もいねーな」 Sは心底つまらなそうだ。 「ま、他の噂だと、崖の下に何人も人が見えるだとか、手が伸びてくるだとか……」 言いながら、Kがガードレールをまたぐ。 ガードレールの向こう側は、安全ロープなども一切張っておらず。 確かに、どうぞお飛びください、といった場所ではある。 「ちょ、おい。 K、危ないって。 いきなり飛びたくなったらどうするんだよ」 僕の忠告を無視し、Kは崖のふちに立って下を覗き込む。 「おー、すげーすげー」 この野郎め、そのまま落ちてしまえばいいのに。 「死にたくなったら一人で飛べよ」 Sはそう言って、崖に背を向ける形でガードレールに腰掛け、 車から持ってきたジュースの入ったペットボトルに口をつけた。 僕はというと、どうしようかと迷った挙句、一応ガードレールを乗り越えて、 何かあったときにすぐ動けるよう待機しておく。 しばらくして、じろじろと海を覗き込んでいたKが立ち上がった。 「うーん、何もねーなー。 なあところでお前らさ、今、死にたくなったりしてるか?」 どんな質問だよと思いながらも、僕は「別に」 と首を横に振る。 SはKに背を向けたままで、「死ぬほど帰りてえ」 と言った。 Kが自分の右手にしている腕時計で時間を確認する。 「えーでもよー。 ここまで来て何も起こらないまま帰るってのもなー。 ……なあ、もうちょっと粘ってみようぜ」 「一人で粘っとけよ」 「冷たいこと言うなよSー。 俺とお前の仲じゃんかー、ほら、暇なら星でも見てろよ」 「死にたくなれ」 漫才コンビは今日も冴えている。 と言うわけで。 僕らは二十分という条件付でもう少しだけ、 ここで起きるかもしれない『何か』を待つことになった。 それから僕ら三人は、並んでガードレールに腰掛け、崖側に足を伸ばして座っていた。 僕は、ボケーっと空を見上げ。 Sは腕を組んで目を瞑り。 Kはせわしなく周りを見回している。 「やべ……、俺ちょっくらトイレ行ってくるわ」 十分くらいたったとき、Kがそう言って立ち上がり、車を停めた休憩所に向かって歩いていった。 隣を見ると、Sは先ほどから目を閉じたままピクリとも動かない。 僕はまた空を見上げた。 先ほどKが言っていたこの崖にまつわる話を、ふと思い出す。 この崖に来ると無性に死にたくなると言うのは本当だろうか。 今のところ自分の精神に変わりはない。 「『道連れ岬』って言うんだろ……ここ」 突然隣から声がしたので、Sの声だとはわかっていても僕は驚いて実際腰が浮いた。 「何? いきなりどうしたん?」 「いや、ちょっとな」 近くにある外灯の光が、Sの表情をわずかに照らす。 Sはいまだ目を開いてなかった。 「さっきKが言ってたろ。 一人が飛ぼうとして、二人が落ちて、一人が死んで……、 なんかしっくりこなくてな。 考えてた」 「で、分かった?」 「さあ、分からん。 ただの尾ひれのついた噂話か……。 そもそも、全部が超常現象の仕業っつーなら、俺が考えなくとも良いんだがな」 「うん」 Sが何に引っかかっているのか分からなかったので、適当に返事をする。 Sはそれ以降何も言わなくなった。 本当に眠ってしまったのかも知れない。 しばらくたって。 誰かの足音に、僕は振り返った。 Kが坂の下からこちらに歩いてきていた。 大分長いトイレだったような気がする。 僕は、Kが来たら「もうそろそろ帰ろう?」 と提案する気でいた。 しかし。 歩いてくるKの様子に、僕は、おや、と思う。 Kはふらふらとおぼつかない足取りだった。 どことなく様子がおかしい。 僕は立ち上がった。 「おーい、K、どうした?」 僕の声にもKは反応しない。 俯いて、左右に揺れながら歩いてくる。 「お、おい……」 Kは、僕らのそばまで来ると、黙ってガードレールを跨ぎ、僕とSの横を通り過ぎた。 表情はうつろで、その目は前しか見ていない。 三角定規の形をした崖の先端。 そこから先は何もない。 Kは振り向かない。 悪ふざけをしているのか。 Kの背中。 崖の先に続く暗闇。 何かがおかしい。 その瞬間、体中から脂汗が吹き出た。 「おいKっ!」 僕はKを引き戻そうと手を伸ばした。 けれど、Kに近寄ろうとした僕の肩を、誰かが強くつかんだ。 振り返る。 Sだった。 「やめろ」 Sの声は冷静だった。 「でもKが!」 「あれはKじゃない」 「……え?」 Sの言葉に僕は、崖の先端に立ちこちらに背を向けている人物を見つめた。 今は後姿だが、あれはどう見たってKだ。 先まで一緒にいたKだ。 「今は何時だ?」 Sが僕に向かって言う。 その額にも脂汗が浮かんでいた。 「答えろ。 今は何時だ?」 Sは真剣な表情だった。 僕はわけが分からなかったが、自分の腕時計を見て 、「……十一時、四十分」 と言った。 「だろう。 だったら、あれはKじゃない」 僕はSが何を言っているのか分からず、 かといって僕の肩をつかむSの腕を振りほどくこともできず、 ただ、目の前のKらしき人間を凝視する。 あれはKじゃない? じゃあ、誰だというのだ? 時間がどうした? あいつがKだと思ったから伸ばした僕の腕。 開いていた掌。 迷いと混乱と疑心によって僕はいったん腕を下ろした。 その時。 目の前のそいつが振り向いた。 首だけで、180度、ぐるりと。 そいつは笑っていた。 顔の中で頬だけが歪んだ、気持ち悪い笑み。 Kの顔で。 その笑みで僕も分かった。 あれはKじゃない。 そいつは、僕とSに気持ち悪い笑みを見せると、そのまま、首だけ振り向いたままの姿勢で……、 飛んだ。 「あ、」 僕は思わず、口に出していた。 頬だけで笑いながら、そいつは、あっという間に僕らの視界から消えた。 何かが水面に落ちる音はしなかった。 「……飛んだ」 僕はしばらく唖然としていた。 口も開きっぱなしだったと思う。 突っ立ったままの僕の横を抜けて、Sが数十メートル下の海を覗き込んだ。 「何もいねえな。 浮かんでもこない」 僕は、何も返せない。 Sはそんな僕の横をまた通り過ぎて。 「おい、いくぞ。 ……Kは大丈夫だ」 そう言ってガードレールを跨ぎ、車を停めた休憩所への下り坂を早足で降り始めた。 僕もそこでようやく我に帰り、崖の下を覗くかSについていくか迷った挙句 、急いでSの後を追った。 「S、S! 警察は?」 「まだいい」 Sは休憩箇所まで降りると、車を通り過ぎ、迷うことなく男子トイレに入った。 僕も続く。 トイレに入った瞬間、僕ははっとする。 洗面所の鏡の前で、Kがうつ伏せで倒れていた。 急いで駆け寄る。 Kは、ぐうぐう眠っていた。 気絶していたと言ってあげた方がKは喜ぶだろうが。 僕はKがそこにいることがまだ信じられないでいた。 例えKじゃなくても、ついさっき、Kの形をしたものが確かに崖から飛んだのだ。 「おいこらK」 Sが屈み込み、寝ているKの右側頭部を軽くノックする。 三度目で、Kは目覚めた。 「いて、何。 ん……、ってか、うおっ!? ここどこだ!」 Kだ。 まぎれもなく、これはKだ。 僕は確信する。 急に、どっと安堵の気持ちが押し寄せてきて、 僕は上半身だけ起こしたKの背中を一発蹴った。 「いってっ! え、何? 俺か? 俺が何かした?」 何かしたも何も。 僕は、Kに何と説明したら良いものか考えて、結局そのまま言うことにした。 「Kが、……いや。 Kにそっくりなやつが、僕らの目の前で崖から飛んだんだ」 Kは目をパチパチさせ。 「はあ? ……うそっ!? マジかよ俺死んだの!? やっべ、すっげー見たかったのにその場面!」 Kだ。 こいつはまぎれもなくK過ぎるほどKだ。 あきれて、笑いが出るほどだった。 「おい、お前ら。 帰るぞ」 Sが言った。 「ええ? そんな面白いことあったんだったらまだ居ようぜ。 俺だけ見てないの損じゃん!」 「うるせー。 二十分は経った。 俺は帰る。 俺の車で帰るかここに残るかはお前ら次第だ」 そういって、Sはトイレから出て行こうとした。 けれど、何か思い出したように立ち止まり、 「ああ、そうだ。 忘れてた」 と独り言のように呟くと、 つかつかと洗面台の前に戻ってきた。 『ビシッ』 深夜のトイレ内に、異様な音が響いた。 Sが手にしていたペットボトル。 Sはその底を持ち、一番硬い蓋の部分を、 まっすぐ、洗面所の鏡に叩きつけたのだ。 蜘蛛の巣状に白い亀裂の入った鏡は、 もう誰の顔も正常に写すことはない。 僕とKは石のように固まっていた。 Sは平然とした顔で鏡からペットボトルを離すと、僕ら二人に向かってもう一度、 「ほら、帰るぞ」 と言った。 僕とKは黙って顔を見合わせ、 Sの命令に従って、急いでトイレを出て車に乗り込んだ。 結局警察は呼ばなかった。 誰も死んでない。 俺らは何も見てない。 Sがそう言ったからだ。 帰り道。 後部座席で色々と騒いでいたKがいつの間にか寝ているのに気づいた後。 僕はそっとSに訊いてみた。 「なあ。 Sは、どうしてあれがKじゃないって分かったん?」 「あれってどれだ」 「僕らの目の前で飛んだ。 Kそっくりな奴」 「ああ」 「……顔も、服装も、体格も、絶対あれはKだったと思う。 どこで見分けたんかなあ、って思ってさ」 すると、Sはハンドルを握っている自分の左手首を指差し、 「あいつの時計がな、左手にしてあったんだ」と言った。 「いつもKは右手に時計をつける。 今日もそうだった」 「はあ」 「だから、おかしいと思って注意して見てみた。 そしたら、文字盤が逆さだった。 一時二十分。 そんだけだ」 十一時四十分。 一時二十分。 鏡合わせ。 「そうか。 だから鏡を割ったんだ」 「……ん? ああ、いや。 ありゃただの鬱憤晴らしだ。 やなモン見たしな」 「はああー……」 Sは鬱憤晴らしなどする様な奴ではないが、まあそれはいいとしよう。 しかしまあSよ。 お前は一体どんな観察力してんだ。 と僕は思う。 普通だったら気づかない。 そんなところには目もいかない。 絶対に。 その証拠に、僕はあいつがKじゃないと分からなかった。 「でも、本当に警察呼ばなくて良かったんかな?」 僕が言うと、Sは首を横に振った。 「俺らは何も見なかった。 Kは死んでない。 それでいいだろ」 確かに、それでいいのかもしれない。 Sに言われると、そんな気がしてくるから不思議だ。 それに、きっと死体は出ない気がする。 あくまで僕のカンだけれど。 「しかしなあ。 もしかすると、あのまま手を伸ばしていたら、お前。 逆に引っ張り込まれてたかもな」 何気ない口調で、Sは恐ろしいことを言う。 僕は一気に背筋が凍りついた。 「道連れ岬とはよく言ったもんだ」 そう言って、Sは大きなあくびをした。 後ろでKが何か意味不明な寝言を言った。 僕はぶるっと一回体を震わした。 生きててよかった。 「……そういや、俺今めっちゃ眠いんだけどよ。 これ事故って道連れになったらごめんな」 Sが言った。 たぶん冗談だろうが。 僕はうまく笑えなかった。 Sの運転する車は、僕らの住む町を目指して、 深夜、人気のない道を少しばかり蛇行しながら走るのだった。 それは、蛙とコオロギの鳴き声が響く、夏もおわりかけたある夜の出来事だった。 「……この家だってよ。 出るって有名な家」 僕とKは、その二階建ての一軒家を、周りをぐるりと囲む塀の外から眺めていた。 風は存外に冷たく、そういう季節はもう過ぎたのだと感じる。 なのに、僕らはまた肝試しに来てしまっていた。 僕とKとS、いつものメンバーだ。 発案者はKだ。 奴のオカルト熱は季節に関係なくいつでも夏真っ盛りらしい。 「二階あたりに女の霊が出るって噂。 今はー……見えねえけどな。 窓に映るらしいぜ」 Kの言葉に、僕は二階の窓を懐中電灯で照らした。 Sはというと、道の脇に停めた車から出てこず、運転席側の窓から、 右肩と頭だけを出してつまらなそうに家を眺めていた。 「おいS、出てこいよ。 なに一人だけ車乗ってんだよおめーはよ」 Kが言う。 Sは大きなあくびで返す。 「……さみーんだよ。 それに、誰がここまでずっと運転してきたと思ってんだ。 ……俺は寝るぞ」 Sはそう言って、車の中に引っ込み窓を閉めてしまった。 「Tシャツ一枚で来た奴がわりーんだよ」 Kが、かかか、と笑う。 でも確かに今日の夜は存外冷える。 おそらく、朝から曇っていたことが原因だと思うが……。 お天気おねえさんは何と言っていただろうか。 そんなことを考えながら、僕はもう一度窓を見上げた。 ちなみに、僕とKがいる位置とSが乗る車の間には、この家の門がある。 門は内側に開いていた。 でも、今日は不法侵入はしない。 外から眺めるだけだ。 理由は、ここがそういうスポットだから。 「噂じゃ、女。 ……っていうかここの家の娘な。 事故で下半身が動かなくなったんだってよ。 それから女はショックで段々頭がおかしくなって。 そのせいで、両親はその女を自宅にずっと閉じ込めてたんだと。 ビョーキ家族だな」 隣でKが言う。 いつもならここらでSの鋭いツッコミが入るのだが、 上がTシャツ一枚の人間にとっては、この寒さは多少分が悪い。 「で、事件は起きるわけだ。 その女が、夜、寝ている両親の首をナイフで掻っ切って。 自分も自殺したんだな」 「……自殺?」 問い返しながら、僕は何だか、周りがさっきよりも寒くなった気がした。 背筋がぞわぞわする。 「首吊りだってよ。 首つり自殺。 こう、ロープにぶら下がって、ぶらんぶらん揺れてたんだと」 Kが舌をべろんと出し、身体を揺らす。 しかし、僕はその時Kの話に違和感を覚えた。 女は両親を殺して首吊り自殺をした。 けれど、その女は確か……。 「……でもさ、それって、おかしくないか?」 「あ、何が?」 「足も動かないのに、どうやって首吊るんだよ」 「どうやってって。 そりゃお前……」 とKが何か言おうとしていた、その口が止まる。 ぞわり、と冷たいものが僕の首筋を撫でた。 それはまるで、大きなつららを直接背中に当てられた様な感覚だった。 足から頭まで、全身に鳥肌が立つのが分かった。 僕とKは、ほぼ同時に二階の窓を見上げた。 二階の一室の窓が、徐々に開いていた。 ゆっくり、音も無く。 隙間に、女の顔が見えた。 髪がぼさぼさ。 大きく見開いた目が、僕ら二人を見据えていた。 窓は開く。 隙間が広がり、その首にロープが見えたその時。 女は一気に、窓の僅かな隙間から外へと身を乗り出した。 女が、頭から落ちる。 途中で、その首に巻いてあったロープが落下を食い止めた。 がくんと女の身体が上下に反転し、二階の窓を支点に振り子運動を始める。 ぶらん、ぶらん。 枯木のように細い足。 その手には、ナイフらしきものが握られている。 一つ、二つ、三つ。 その身体が痙攣した。 ナイフが手から落ちる。 その手が宙を掻く。 音は何も無い。 その内、女の両手がだらりと下に垂れさがった。 口が開き、真っ赤な舌がその中に覗いていた。 死んだのか、死んでいるのか。 しかし、女の目だけは、未だこちらをぎょろりと見据えていた。 僕の口から、何か悲鳴のようなものが出ようとしていた。 と、僕の首筋に冷たいものが当たった。 「ふひゃっ」僕はついに悲鳴を上げて、実際飛び上がった。 雨だった。 しかし、雨のおかげで一瞬だけだが気がそれた。 それから、はっとしてまた二階を見上げたが、そこにはもう何も無かった。 首を吊った女の姿も、窓も、閉まったままだった。 「……ああやって、首を吊ったんだとよ」 隣を見ると、Kは笑っていたが、無理をしている笑いだと一目で分かる。 でもその時は僕も同じ笑いを返していたに違いない。 なるほど確かに、あの方法なら足が不自由でも首が吊れる。 すごいものを見たな。 と僕がKに言おうとした時。 何かが落ちた。 塀の向こう側。 それから、ズル、ズルと布が擦れる音。 先程見た首吊りには音は無かった。 しかし、今度は音だけがある。 僕とK、それとSが乗る車の間にある門。 門は開いていたのだが、そこから、手が出てきた。 さっきの女の手だ。 ナイフを握っている。 もう片方の腕も出てきた。 次いで、頭。 首にはロープ。 白い服。 見開いた眼。 垂れた舌は地面を舐める。 僕は、Sに助けを求めようとした。 しかし、声が出ない。 身体が動かない。 金縛り。 Kも同じらしかった。 どうしよう。 こっちにゆっくり這い寄って来る。 足は動いてない、手だけで。 地面を、ずるずると。 怖い、それに近い。 怖い近いこわい近っ。 這い寄る女と僕らの距離はもう二メートルも離れてなかった。 あ、もう駄目かも。 本気でそう思う。 突然、光に目が眩んだ。 エンジン音とブレーキ音。 気がつくと、僕らが乗ってきた車が目の前にあった。 金縛りが解け、身体が動く。 身体は動いたが、僕はしばらくその場を動けなかった。 ウィームと運転席側の窓が開き、Sの眠たそうな声が聞こえる。 「……おいお前ら、もういいだろ。 雨が降ってきたから帰ろうぜ」 僕とKは顔を見合わせた。 おそるおそる、車の下を覗くが、そこには何もいない。 「こいつ……」 Kが呟く。 「……轢きやがった」 「あん? ああ、そういや妙な手ごたえがあったな。 でかいカエルでもつぶしたか?」 僕は、何も言えないでいた。 KもSをまじまじ見つめるだけだった。 そんな僕らに、Sは怪訝そうな顔を見せ、 「どうしたお前ら。 なんかあったか? ……ま、何を見ても聞いてもだ。 そりゃ幻覚に幻聴だ。 ほら、乗れ。 もう帰るぞ」 僕とKはもう一度顔を見合わせ、お互い何も言わずに車に乗り込んだ。 それは、蛙とコオロギの鳴き声が響く、夏も終わりかけたある夜の出来事だった。 私の故郷に伝わっていた「禁后」というものにまつわる話です。 どう読むのかは最後までわかりませんでしたが、 私たちの間では「パンドラ」と呼ばれていました。 私が生まれ育った町は静かでのどかな田舎町でした。 目立った遊び場などもない寂れた町だったのですが、 一つだけとても目を引くものがありました。 町の外れ、たんぼが延々と続く道にぽつんと建っている一軒の空き家です。 長らく誰も住んでいなかったようでかなりボロく、 古くさい田舎町の中でも一際古さを感じさせるような家でした。 それだけなら単なる古い空き家…で終わりなのですが、目を引く理由がありました。 一つは両親など町の大人達の過剰な反応。 その空き家の話をしようとするだけで厳しく叱られ、 時にはひっぱたかれてまで怒られることもあったぐらいです。 どの家の子供も同じで、私もそうでした。 もう一つは、その空き家にはなぜか玄関が無かったということ。 窓やガラス戸はあったのですが、出入口となる玄関が無かったのです。 以前に誰かが住んでいたとしたら、どうやって出入りしていたのか? わざわざ窓やガラス戸から出入りしてたのか? そういった謎めいた要素が興味をそそり、 いつからか勝手に付けられた「パンドラ」という呼び名も相まって、 当時の子供達の一番の話題になっていました。 この時点では「禁后」というものについてまだ何も知りません。 私を含め大半の子は何があるのか調べてやる!と探索を試みようとしていましたが、 普段その話をしただけでも親達があんなに怒るというのが身に染みていたため、 なかなか実践できずにいました。 場所自体は子供だけでも難なく行けるし、人目もありません。 たぶん、みんな一度は空き家の目の前まで来てみたことがあったと思います。 しばらくはそれで雰囲気を楽しみ、何事もなく過ごしていました。 私が中学にあがってから何ヵ月か経った頃、ある男子がパンドラの話に興味を持ち、 ぜひ見てみたいと言いだしました。 名前はAとします。 A君の家はお母さんがもともとこの町の出身で他県に嫁いでいったそうですが、 離婚を機に実家であるお祖母ちゃんの家に戻ってきたとのこと。 A君自身はこの町は初めてなので、パンドラの話も全く知らなかったようです。 その当時私と仲の良かったB君・C君・D子の内、B君とC君が彼と親しかったので 自然と私達の仲間内に加わっていました。 五人で集まってたわいのない会話をしている時、 私達が当たり前のようにパンドラという言葉を口にするので、 気になったA君がそれに食い付いたのでした。 「うちの母ちゃんとばあちゃんもここの生まれだけど、その話聞いたらオレも怒られんのかな?」 「怒られるなんてもんじゃねえぜ〜うちの父ちゃん母ちゃんなんか本気で殴ってくるんだぞ!」 「うちも。 意味わかんないよね」 A君にパンドラの説明をしながら、みんな親への文句を言い始めます。 ひととおり説明し終えると、一番の疑問である 「空き家に何があるのか」という話題になりました。 「そこに何があるかってのは誰も知らないの?」 「知らない。 入ったことないし聞いたら怒られるし。 知ってんのは親達だけなんじゃないか?」 「だったらさ、何を隠してるのかオレたちで突き止めてやろうぜ!」 Aは意気揚揚と言いました。 親に怒られるのが嫌だった私と他の三人は最初こそ渋っていましたが、 Aのノリにつられたのと、今までそうしたくともできなかった うっぷんを晴らせるということで、結局みんな同意します。 その後の話し合いで、いつも遊ぶ時によくついてくるDの妹も行きたいという事になり、 六人で日曜の昼間に作戦決行となりました。 当日、わくわくした面持ちで空き家の前に集合、 なぜか各自リュックサックを背負ってスナック菓子などを持ち寄り、 みんな浮かれまくっていたのを覚えています。 前述のとおり、問題の空き家は たんぼに囲まれた場所にぽつんと建っていて、玄関がありません。 二階建の家ですが窓まで昇れそうになかったので、 中に入るには一階のガラス戸を割って入るしかありませんでした。 「ガラスの弁償ぐらいなら大した事ないって」 そう言ってA君は思いっきりガラスを割ってしまい、中に入っていきました。 何もなかったとしてもこれで確実に怒られるな…と思いながら、みんなも後に続きます。 そこは居間でした。 左側に台所、正面の廊下に出て左には浴室と突き当たりにトイレ、 右には二階への階段と、本来玄関であろうスペース。 昼間ということもあり明るかったですが、 玄関が無いせいか廊下のあたりは薄暗く見えました。 古ぼけた外観に反して中は予想より綺麗…というより何もありません。 家具など物は一切なく、人が住んでいたような跡は何もない。 居間も台所もかなり広めではあったもののごく普通。 「何もないじゃん」 「普通だな〜何かしら物が残ってるんだと思ってたのに。 」 何もない居間と台所をあれこれ見ながら、 男三人はつまらなそうに持ってきたお菓子をボリボリ食べ始めました。 「てことは、秘密は二階かな」 私とD子はD妹の手を取りながら二階に向かおうと廊下に出ます。 しかし、階段は…と廊下に出た瞬間、私とD子は心臓が止まりそうになりました。 左にのびた廊下には途中で浴室があり突き当たりがトイレなのですが、 その間くらいの位置に鏡台が置かれ、真前につっぱり棒のようなものが立てられていました。 そして、その棒に髪がかけられていたのです。 どう表現していいかわからないのですが、 カツラのように髪型として形を成したものというか、 ロングヘアの女性の後ろ髪がそのままそこにあるという感じです。 伝わりにくかったらごめんなさい 位置的にも、平均的な身長なら大体その辺に頭がくるだろう というような位置で棒の高さが調節してあり、 まるで「女が鏡台の前で座ってる」のを再現したみたいな光景。 一気に鳥肌が立ち、「何何!?何なのこれ!?」と軽くパニックの私とD子。 何だ何だ?と廊下に出てきた男三人も意味不明な光景に唖然。 D妹だけが、あれなぁに?ときょとんとしていました。 「なんだよあれ?本物の髪の毛か?」 「わかんない。 触ってみるか?」 A君とB君はそんな事を言いましたが、C君と私達は必死で止めました。 「やばいからやめろって!気持ち悪いし絶対何かあるだろ!」 「そうだよ、やめなよ!」 どう考えても異様としか思えないその光景に恐怖を感じ、ひとまずみんな居間に引っ込みます。 居間からは見えませんが、廊下の方に視線をやるだけでも嫌でした。 「どうする…?廊下通んないと二階行けないぞ」 「あたしやだ。 あんなの気持ち悪い」 「オレもなんかやばい気がする」 C君と私とD子の三人はあまりに予想外のものを見てしまい、 完全に探索意欲を失っていました。 「あれ見ないように行けばだいじょぶだって。 二階で何か出てきたって階段降りてすぐそこが出口だぜ?しかもまだ昼間だぞ?」 AB両人はどうしても二階を見たいらしく、引け腰の私達三人を急かします。 「そんな事言ったって…」 私達が顔を見合わせどうしようかと思った時、はっと気付きました。 「あれ?D子、〇〇ちゃんは?」 「えっ?」 全員気が付きました。 D妹がいないのです。 私達は唯一の出入口であるガラス戸の前にいたので、外に出たという事はありえません。 広めといえど居間と台所は一目で見渡せます。 その場にいるはずのD妹がいないのです。 「〇〇!?どこ!?返事しなさい!!」 D子が必死に声を出しますが返事はありません。 「おい、もしかして上に行ったんじゃ…」 その一言に全員が廊下を見据えました。 「やだ!なんで!?何やってんのあの子!?」 D子が涙目になりながら叫びます。 「落ち着けよ!とにかく二階に行くぞ!」 さすがに怖いなどと言ってる場合でもなく、 すぐに廊下に出て階段を駆け上がっていきました。 「おーい、〇〇ちゃん?」 「〇〇!いい加減にしてよ!出てきなさい!」 みなD妹へ呼び掛けながら階段を進みますが、返事はありません。 階段を上り終えると、部屋が二つありました。 どちらもドアは閉まっています。

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長編の面白い話、笑える話のまとめ【全部実話の超絶エピソード集】

怖い話 長編 まとめ

海外で語られている洒落にならないほど怖い話を厳選しています。 海外の人たちが震えた 短編ホラーストーリー全39話は、読み終えたことを後悔する恐れもあるので、ここから先の怖い話は閲覧注意の自己責任でどうぞ… 怖い話 No. 1「キャンドル・コーブ」 あるネットの掲示板で、70年代にアメリカで放送されていた子供向けのテレビ番組が話題となっていた。 番組タイトルは「キャンドル・コーブ」。 主人公の幼い女の子が「海賊と友だちになることを想像する」シーンから始まり、可愛らしいパペットキャラが続々と登場する、低予算のセサミストリートみたいな番組だったらしい。 「1話だけ、すごく気持ち悪い話あったよね? 」 当時「キャンドル・コーブ」をリアルタイムで視聴していた人たちの間で、あるエピソードが話題となった。 通常は、女の子とパペットキャラクターの楽しい会話で展開される番組が、 唯一1話だけ、画面に登場するキャラクター達が終始叫び声を上げ、恐怖した女の子が泣き叫んでいる、不気味で意味不明なエピソードが放送されたそうだ。 そもそも「キャンドル・コーブ」なんて番組は、本当に存在したのか? 掲示板を見ていた一人の男性は、自分の母親に尋ねた。 「昔やってた『キャンドル・コーブ』って子供番組知ってる? 」 息子の質問に母親は驚いた。 「あなた、毎回『キャンドル・コーブ』見てたじゃない。 2「天使の像」 父と母は、たまには夜の街で羽根を伸ばそうと、信頼できるベビーシッターに子供の世話を頼むことにした。 ベビーシッターが到着した時、すでに2人の子供はベッドで熟睡中。 しばらくすると、ベビーシッターは暇を持て余した。 子供が寝ている1階にはテレビがないため、何もすることがなく退屈で仕方なかった。 そこで、子供たちの父親の携帯に連絡して 「子供たちは寝ているからテレビを見に2階へ行ってもいいですか? 」とたずねた。 父親がテレビを見ることを許可すると 「あと、もう一つよろしいですか? 」と、ベビーシッターは質問した。 「子供部屋の窓から見える、庭の天使の像にブランケットをかけて隠してもいいですか?とても気味が悪いので…」 電話口の父親はしばらく沈黙した後に、こう告げた。 「すぐに警察へ連絡するから子供を連れて家から逃げてくれ!! うちに天使の像なんて無いんだ!! 」 父親の通報から3分以内に駆けつけた警察は、ベビーシッターと2人の子供を血溜まりの中で発見した。 そして、どこを探しても天使の像は発見されなかった... 怖い話 No. 3「リフォーム」 私と彼氏は中古で一軒家を購入しました。 「キッチンをベッドルームに改装しよう!! 」 彼氏は、この家を大胆にリフォームしようと張り切っていました。 彼が作業する間、 家中の古い壁紙を剥がすのが私の仕事でした。 以前の住人は、家中の壁と天井に壁紙を貼っていたため、私の作業は膨大でしたが、次第に壁紙を剥がすことに快感を覚え、不思議な感覚に満たされていきました。 壁紙が破れないよう上手に剥がすことが出来ると、日焼けした時に肌がペロンとめくれた時のような、爽快感が味わえたんです。 ちょっとしたゲーム感覚で、私は壁紙剥がしに没頭しました。 ですが、作業を進めていくと、私は奇妙なことに気が付いたのです。 壁紙を剥がすと、 全ての部屋の角に人の名前と日付が書かれていたのです。 気になった私は、壁紙に書かれていた人名をグーグルで検索すると、恐ろしいことが明らかになりました。 行方不明で捜索願が出されている人の名前と、姿を消した日付が、我が家の壁の記述と一致したのです… 翌日、私は壁紙の下に隠れていた人名と日付のリストを作成して警察に通報すると、すぐに捜査員たちがやってきました。 家の中を調査した後に、一人が私にこう訪ねました。 「これまでに剥がした壁紙はどこにありますか?あなたが剥がしていたのは紙ではありません。 おそらく行方不明者の皮膚でしょう」.

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