パーキンソン 病 嚥下 障害。 パーキンソン病と嚥下障害の関係や原因!病態は神経疾患が伴う!?

西新潟中央病院:パーキンソン病の言語聴覚療法

パーキンソン 病 嚥下 障害

パーキンソン病とは、からだを動かすときに脳から指令を伝える伝達物質であるドーパミンが不足することで起こる病気です。 パーキンソン病のおもな症状は、手足のふるえや筋肉のこわばりなどで、うまくからだが動かなくなるといった運動にかかわる症状がよく知られています。 その他にもいろいろと症状がありますが、その症状の一つに「嚥下障害 えんげしょうがい 」があります。 嚥下障害になると、食事に時間がかかるようになるうえ、食べ物をスムーズに飲みこめなくなり、合併症につながる可能性もあるので、早めにセルフケアを行うことが重要です。 パーキンソン病の症状である嚥下障害を治すためには、嚥下障害について知ることが大切です。 このページではパーキンソン病の嚥下障害の症状でお困りの方のために、嚥下障害とはどういうものか、また原因・症状・合併症・対処法について詳しく説明しております。 【目次】• 嚥下とは、食べものを口に入れてから、よくかんで飲みこむことです。 嚥下のメカニズムには、以下のような 5つの段階があり、複雑な動作を行うことで、食べたものがスムーズに胃に送られます。 1 先行期 食べものや飲みものを目で確認して、一口の量や食べ方を判断するとともに、食欲がわいて口のなかの唾液(だえき)が増えます。 2 準備期 口に入れた食べものをよくかんで唾液と混ぜて、飲みこみやすいかたまりにします。 3 口腔期 飲みこみやすくした食べもののかたまりを、口のなかからのどの奥の咽頭(いんとう)へ送ります。 このとき、口のなかでは、舌を上あごにつけることで、食べもののかたまりの移動をたすけます。 4 咽頭期 食べたものや飲んだものを、咽頭からその奥にある食道まで送りこみます。 咽頭は普段は呼吸をするために、咽頭蓋 いんとうばん というふたをあけていますが、食べものを食道へ送るときは、反射的に咽頭盤を下に向けて、まちがって気管に入らないようにします。 5 食道期 嚥下の最終段階である食道期は、食べもののかたまりが食道へ送りこまれます。 このとき、上部食道括約筋 じょうぶしょくどうかつやくきん の働きで食道が閉じることで、逆流せずに胃へ食べたものが送られます。 嚥下障害とは、このような嚥下の複雑な動作になんらかの問題が起きていることです。 普段だと、なにも考えなくてもできている、食べて飲みこむことがうまくできなくなります。 パーキンソン病の嚥下障害は、病状が早いうちから見られますが、そのころはのどの奥だけで症状が起こっていることから、ご自分で気がつくことはむずかしく、口の中に食べ物が残りやすくなって、はじめて気づくケースが多くあります。 パーキンソン病の嚥下障害は、パーキンソン病でお困りの方の約 50%に見られるといわれています。 パーキンソン病の嚥下障害による症状のため、起こりやすい合併症があります。 合併症になると、さらに体調が悪くなることも多いため注意が必要です。 1 誤嚥性肺炎 ごえんせいはいえん 食べものや唾液などが気管に入ると、胃ではなく誤嚥によって肺へ入ってしまいます。 そのため、誤嚥したものにふくまれていた細菌が肺のなかで繁殖して炎症を起こし肺炎になります。 誤嚥性肺炎は、高齢になると飲みこむ力が弱くなるため、ご年配の方に多く見られます。 パーキンソン病は、年齢が進むにつれてかかりやすいこともあり、パーキンソン病の嚥下障害による誤嚥性肺炎は、もっとも起こりやすい合併症です。 また、パーキンソン病の方は、重症になることもあるため注意が必要です。 2 栄養不足、脱水 食事に時間がかかり、食べる量も少なくなるため栄養のバランスが悪くなり、水分も十分にとれずに脱水になることがあります。 3 口のなかの感染 食べものや唾液が口のなかにたまりやすくなって、口のなかが汚れやすくなります。 口のなかが汚れたままだと、細菌が増えて感染を起こしやすくなります。 ーキンソン病における嚥下障害は、症状が進行してから気づくことも多いため、早い時期から食事の工夫やリハビリをすることが対処法になります。 日常生活では、次のようなことを心がけると、合併症の予防にもなります。 1 食事は飲みこみやすい形にする 食べものを一口で食べられる大きさや細かい形に切っておくと、飲みこみが楽になります。 一口の量が多い方は、意識して少しずつ食べることもコツです。 お薬は、粉薬はむせやすいので、飲みにくいときは、主治医に相談して錠剤へ変えてもらったり、ゼリーなどに混ぜると飲みやすくなります。 2 とろみをつけておく 食べものや飲みものにとろみをつけると、のどの通りがよくなり飲みこみが楽になります。 とろみは、片栗粉や市販のとろみ剤などを使って、飲みこみやすいかたさに調整することがポイントです。 3 食事の姿勢に注意する 食事のときの姿勢が悪いと、誤嚥を起こしやすくなるため、姿勢を正しくすることも大切です。 食事をするときは、かかとが床につく高さの椅子に座り、自然な前かがみの姿勢が理想的です。 4 口のなかをきれいにする 口の中は、雑菌が繁殖しやすいので、口の中をきれいに保つことも誤嚥の予防には大切です。 食後の歯みがきや入れ歯の手入れをこまめに行い、歯こうや歯石がたまるのを防ぎます。 5 リハビリをする 口のまわりの筋肉や舌などを動かしてリラックスすると、食事が食べやすくなります。 首や肩まわりなどのストレッチのような軽い運動も、嚥下に使う筋肉をスムーズにする効果もあるため、無理のない範囲で行うとよいでしょう。 食べることは、からだに必要な栄養やエネルギーをとるためだけでなく、生活のなかの楽しみの 1つでもあります。 食べやすく、おいしいと感じるものを食べることと同時に、家族や友人などと一緒に楽しみながら食事をするなどの雰囲気や環境づくりは、パーキンソン病におかかりであっても、生活や気持ちを豊かにする方法の 1つにもなります。 パーキンソン病は、多くの場合、ゆるやかに病状が進んでいくため、お薬の治療などで症状をうまくコントロールしながら、長くおつきあいする病気でもあります。 そのため、なるべく生活に不自由がでないように、症状の予防を心がけることがとても大切です。 パーキンソン病の嚥下障害は、食べ方などの日常生活のちょっとした工夫を心がけることで予防と改善ができる症状です。 どうぞあきらめないでください。

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パーキンソン病の病期・ヤール分類別にリハビリの目的、内容をまとめました

パーキンソン 病 嚥下 障害

せっしょく・えんげしょうがいのりはびりてーしょん 概要 「食べる」という行為は、生命維持に必要な栄養を取り入れる、味を楽しむ、食事の場面を通じてコミュニケーションを楽しむなど、私たちの生活においてとても大きな意味を持ちます。 「食べる」ことは、脳にある摂食中枢と嚥下中枢からの指令で口や喉を動かして、外部から水分や食物を口に取り込み、胃へ送り込むことで、これを「摂食嚥下」の運動といいます。 この運動に支障を来すのが摂食嚥下障害であり、食物を飲み込もうとすると気管へ入ってむせてしまう、食道へ入っていかず喉に残ってしまう、というような症状が特徴的にみられます。 原因としては、脳卒中やパーキンソン病などの神経や筋肉の病気、あるいは舌・咽頭・喉頭がんなどがあります。 摂食嚥下障害で生じる問題は、肺炎・窒息・低栄養・脱水など生命の危険に直結する、とても深刻なものばかりです。 また、食べることの障害は、医学的リスクだけでなく、食べる楽しみを失うという生活の質(QOL)の観点からも重要な問題になります。 摂食嚥下リハビリテーション(以下、リハビリ)では、患者さんが安全かつ楽しく生活できるよう、栄養摂取の方法を確立することを目指します。 患者さんに合わせた食事や栄養摂取のスタイルを確立することが、嚥下リハビリの最大の目標です。 症状 摂食嚥下の5期モデル 摂食嚥下は、先行期、口腔準備期、口腔送り込み期、咽頭期および食道期の5つのステージに分けられます。 これを摂食嚥下の5期モデルといいます(図1)。 摂食嚥下の5期モデル (放送大学教材 リハビリテーション 放送大学教育振興会、2007年から引用、一部改変) 誤嚥 誤嚥とは、食道に送り込まれるべき食塊や水分が何らかの原因で声門を越えて気管や肺に入ってしまった状態を意味します。 誤嚥をした場合、通常は激しくむせて誤嚥物を喀出しようとする防御機構が働きます。 これを顕性誤嚥といいます。 しかし、気管の感覚低下などにより、誤嚥してもむせや咳嗽などの反応がない場合もあります。 これを、不顕性誤嚥といいます。 不顕性誤嚥では外見上、誤嚥しているか否かが判断できないため、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。 摂食嚥下障害の原因 嚥下障害の原因は、器質的(解剖学的)障害と機能的(生理学的)障害の2つに大きく分けられます。 また、加齢に伴う機能低下も影響します。 器質的(解剖学的)障害 器質的障害とは、口腔、咽頭食道などの解剖学的構造に異常がある場合で、食塊の通り道に障害物があるような状態をいいます。 舌がんや咽頭がんなどの口腔・咽頭の腫瘍による場合や術後の障害が原因となる場合が多いです。 例えば、舌がんでは舌切除による舌の運動障害を生じ、食塊を口腔内で処理できなくなり、咽頭へ送り込めないなど口腔期の障害が起こります。 一方、咽頭がんでは舌根部や咽頭後壁切除により咽頭内圧(咽頭内に送り込まれた食塊を一気に食道へと押し込む圧)の低下を生じて、嚥下しても食塊が咽頭に残留してしまうなど咽頭期の障害が起こります。 いずれも切除範囲が広いほど障害が重度になる傾向があります。 機能的(生理学的)障害 機能的障害とは、口腔や咽頭の構造は正常でも、それら諸器官の運動に問題があり、食塊の通り道の動きがゆっくりになってしまうような状態です。 原因としては、脳血管障害や筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病などの神経変性疾患のほか、多発性硬化症、脳炎、脳腫瘍、脳性麻痺、外傷性脳損傷、筋ジストロフィー、重症筋無力症、多発性筋炎などが挙げられます。 加齢の影響 高齢者においては、加齢に伴い、摂食嚥下面の様々な機能低下を生じてきます。 例えば、歯の数が減少すると食塊形成には不利となります。 嚥下反射(飲み込みの反射)はゆっくり始まるようになります。 咳の反射が低下して、あまりむせなくなります。 小さな脳梗塞は加齢とともに増加し、嚥下機能に影響を及ぼします。 また、薬剤の影響としては、抗コリン薬や抗ヒスタミン薬の服用により、唾液分泌は抑制されます。 抗てんかん薬や抗精神薬は嚥下反射を抑制します。 症状 摂食嚥下障害の典型的な主訴は、「飲み込みにくい、むせる」ですが、明らかな訴えがない場合も多いです。 夜間の咳、繰り返す発熱、体重の減少などにも注意を払う必要があります。 表1のような質問紙を利用したり、食事場面の観察を行い、食欲、食事の形態、摂取量、所要時間、むせの有無、湿性嗄声(痰が絡んだようなごろごろした声)の有無、口腔ケアの状況(口腔内の汚れ・乾燥、舌苔や唾液の量、義歯の適合、虫歯や歯肉の出血など)をチェックします。 摂食嚥下障害の質問紙 (『脳卒中の摂食・嚥下障害』第2版 医歯薬出版、1998年から引用 ) 上記15項目からなる質問のうち1つでもAがあった場合は嚥下障害の疑いありと判断し、専門医に相談されることをおすすめします。 診断 検査• スクリーニング検査 反復唾液嚥下テストは、口腔内を湿らせた後に、唾液を嚥下してもらいます。 30秒間で可能な空嚥下の回数を評価し、30秒間で2回以下を異常とします。 改訂水飲みテストは、冷水3mlを口腔に注ぎ嚥下してもらい、その後、反復して嚥下を2回行うように指示します。 評価は、嚥下可能かどうか、むせるかどうか、呼吸状態に変化があるかどうかをチェックし、判定します。 ビデオ嚥下造影(videofluoroscopic examination of swallowing:VF) 検査の詳細については、をご覧ください。 嚥下内視鏡検査(Video Endoscopy: VE) 鼻咽腔内視鏡を用いて嚥下機能を評価する方法です。 VFと比較して被爆せずにベッドサイドで繰り返し行える利点があります。 咽頭残留はよくみえますが、嚥下反射(飲み込みの反射)時の観察は不能で誤嚥の瞬間をとらえることはできません。 詳細は、をご覧ください。 治療 摂食嚥下リハビリテーションの実際 摂食嚥下リハビリの目標は、患者さんにとって安全かつ快適な摂食状態をつくり、QOLの向上を図ることです。 食事摂取することによる肺炎や窒息などのリスクに注意しながら、患者さんの食べる楽しみや家族の要望を十分考慮して取り組む必要があります。 口腔ケア 口腔ケア(口の中の清掃・衛生管理)は訓練を行う上での前提条件となります。 歯ブラシなどを用いて、口腔内をきれいにし、食物の残りかすや、細菌を除去し、口腔内の衛生状態を改善させます。 専門的な口腔ケアは高齢者の誤嚥性肺炎の発生率を低下させることが報告されています。 間接(基礎)訓練 嚥下訓練には、間接(基礎)訓練と直接(摂食)訓練があります。 間接訓練とは、「食べ物を用いない訓練」です。 誤嚥の危険が高く直接訓練を行うことのできない場合や経口摂取をしている場合でも、食前の嚥下体操などのように嚥下諸器官の準備運動の目的で行うことも多いです。 間接訓練の種類と目的および方法を図2と表2に示しました。 直接(摂食)訓練 直接(摂食)訓練とは、「食べ物を用いる訓練」です。 誤嚥の危険を伴うので、VF検査などで重症度を評価した上で適応を判断します。 誤嚥を防ぐための体位や肢位、代償的嚥下法、食形態の工夫などの代償手段(後述)を用いることで、誤嚥の防止を図りながら、安全に直接訓練を行い、30分程度の食事時間と7割以上の摂取量を目安に、安全かつ適切な難易度の食事を段階的に進めます。 VF検査で不顕性誤嚥を認めた場合には、外見上、誤嚥が分かりにくいので特に注意が必要です。 食事中や食後に湿性の嗄声があるかどうか、痰が増えていないかどうかなど、誤嚥の徴候を見逃さないようにします。 代償手段• 体位・肢位・代償的嚥下法(表3) 表3. 主な体位・肢位・代償的嚥下法の目的と方法• 食物の種類・形態 嚥下開始食として適している食材は、口腔準備期や口腔送り込み期では、咀嚼、食塊形成、咽頭への送り込みが難しいため、舌の運動に頼らずに咽頭へ流し込めるさらさらの液体やみそ汁、コーンスープ、シャーベットなど低粘度のペースト状の食形態です。 一方、咽頭期では、誤嚥を予防するため、ヨーグルト、ゼリーなど高粘度のペースト状の食形態が、嚥下開始食として用いられます。 液体は凝集性が低いため咽頭で散らばり最も誤嚥しやすいです。 とろみのある液体は咽頭でまとまって、咽頭への流入速度が遅くなり、誤嚥を防ぐことができますので、誤嚥の危険の大きい場合には、お茶、味噌汁に増粘剤を付加します。 食事時の一口量・摂取ペース 一口量が多すぎて誤嚥する場合、小さいスプーンや箸を使用することで物理的に一口量を制限します。 ビデオ嚥下造影検査で適量が分かっていれば"3ccくらい"などと具体的な数字で示します。 摂取ペースが速いと、咽頭残留があるのに次々に摂取してしまい、咽頭残留が増加して誤嚥を来してしまうことがありますので、摂取ペースが速くならないように心がけます。 栄養摂取の方法 経口摂取のみで1日の必要エネルギー量を確保できない場合には経管栄養が必要となります。 経鼻胃管の留置が一般的ですが、長期間留置をしておくと、鼻腔、口腔、咽頭の衛生上の問題や嚥下動作時の違和感による苦痛、胃食道逆流による誤嚥などが生じるので、経皮内視鏡的胃瘻(いろう)造設術(PEG)の導入を検討します。 PEGは開腹手術をせずに胃カメラを利用して胃と皮膚との間にチューブを留置する方法です。 高齢者や全身状態があまりよくない場合でも、比較的安全に造設することができます。 慶應義塾大学病院での取り組み リハビリテーション科では、摂食嚥下障害を「食べること全体の問題」と捉えて、姿勢、食事の仕方、食物の種類、補助的な栄養法、歯科的管理などにも配慮し、患者さんが安全かつ楽しく生活できるよう、栄養摂取の方法を確立することを目指して、チーム医療を実践しています。 さらに詳しく知りたい方へ• 第2版 東京 : 医歯薬出版, 2007. 9 文責: 最終更新日:2020年6月15日.

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パーキンソン病とよだれ(2017/07)

パーキンソン 病 嚥下 障害

アスクドクターズ監修医師 この記事の目安時間は6分です パーキンソン病の症状の程度をあらわすのに、ホーエン先生とヤール先生という方が作った分類方法で、「ホーエン&ヤールの重症度分類(ヤールの重症度分類ともいわます)」があります。 以下の6つのステージに分けられます。 ステージ0;パーキンソン症状(パーキンソニズム)なし。 ステージI;体の片側だけに症状がある。 「一側性パーキンソニズム」 ステージII;体の両側に症状がある。 「両側性パーキンソニズム」 ステージIII;軽度から中等度のパーキンソニズム、姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい:バランスがとりづらくなるため、前かがみの姿勢になり、すり足で小刻みな歩行になります)がある。 ステージIV;高度な障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能である。 ステージV;介助なしでは、ベッドまたは車椅子生活を余儀(よぎ)なくされる。 ステージIII度以上では日常生活に支障がでてきます。 日本の厚生労働省の研究班が定めが「生活機能障害度」という分類もあり、「1度;日常生活、通院にほとんど介助を要しない」、「2度;日常生活、通院に部分的介助を要する」、「3度;日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能」、となっていますが、 指定難病の認定には、ヤールの重症度分類ステージIII以上かつ生活機能障害度2度以上が対象とされます。 生命の予後は悪くない、つまり発症することによる寿命への影響は大きくありません。 ただ、 転倒と肺炎により寝たきりとなることが多く、年齢にもよりますが、寝たきりとなってからの生命予後は1年間程度といわれています。 一般には症状は片方だけで、机や膝(ひざ)の上に手を置いているような時に目立ち、動かすと止まるタイプです。 1秒間に4蛔から6回程度のややゆっくりとしたふるえです。 他に運動の症状として、 初期にみられるのは、「手足の動きが悪くなる」ものです。 「痛みやしびれ」といった、手足の運動ではなく、感覚の症状で発症する患者さんもいます。 「五十肩」だと思って治療していたが良くならず、そのうち典型的な運動症状(振戦)が出現して診断がつくこともまれではありません。 また、運動症状で診断される前に、「うつ状態」や「睡眠時の異常行動(REM睡眠期行動異常症:RBD)」がみられることも多いようです。 特に初期症状として多いのが「便秘」です。 パーキンソン病が先か、便秘が先かといわれるくらいパーキンソン病には便秘がよくみられることが知られています。 「性機能の障害(いわゆるインポテンツなど)」も発症前に認められることがあります。 自律神経の障害は、他にも排尿(はいにょう)や発汗(はっかん)の障害、起立性低血圧(きりつせいていけつあつ)などがありますが、初期から、とくに起立性低血圧をはじめとする自律神経症状がそろってみられたり、症状の程度が強い場合は、パーキンソン病ではなく、同じ脳の病気で、パーキンソン症のような症状が出る病気の1つである「多系統萎縮症(たけいとういしゅくしょう)」の可能性が高くなるとわれています。 食べ物は、「嚥下(えんげ)運動」(飲み込むこと)を通じて、胃に送られます。 具体的には、口腔(こうくう)から咽頭(いんとう)へ送り込まれ(口腔期)、咽頭から食道へ輸送され(咽頭期)、食道から胃へと移動します(食道期)。 パーキンソン病の嚥下障害、つまり飲み込むことができない状態は、嚥下運動のどの期にも異常があらわれ、しかも複数の異常があることがよくあります。 「口腔期」では舌や咀嚼(そしゃく;歯でかんで砕くこと)の運動の障害、「咽頭期」では、咽頭の不十分な収縮により、食物が咽頭に残ること、嚥下反射(食べ物を飲み込む時に、気管の方へ間違ってはいらないように蓋をし、食道に送り込む反射的な運動)の低下による誤嚥(ごえん)が起きることがあります。 「食道期」では食道上部の「括約筋(かつやくきん;逆流などを防ぐための弁の役割をする輪状の筋肉)」と呼ばれる筋肉の機能不全などが起きる可能性があります。 パーキンソン病の嚥下障害の特徴は以下の通りです。 専門的には不顕性誤嚥といいます。 「不顕性誤嚥」、つまりむせない誤嚥のある患者さんの肺炎の発症率は、通常の誤嚥がある患者さんの発症率の5倍にものぼるとのデータもあります。 理由としては、本来呼吸のための部分に、食物などの異物が入るためと考えられます。 日本におけるパーキンソン病の患者さんの死因(パーキンソン病自体から発生するもので)は、「肺炎」が約40%と最も多く、「窒息」と「栄養障害」がともに、およそ7%と続きます。 3つの死因については、嚥下障害との関連が考えられているために、パーキンソン病の嚥下障害のコントロールや治療は、その後の寿命や生活の質を決定する重要な因子になります。 パーキンソン病の姿勢の異常は特徴的で、歩行にも影響が出ます。 歩行時は、前傾前屈(ぜんけいぜんくつ)姿勢、つまり前かがみで、膝(ひざ)も軽度に曲がり、歩幅の狭い「小刻み歩行」や「すり足歩行」となります。 歩行の速度は一般に遅いですが、前傾してだんだん早く、かけ足のようになる「加速歩行(突進現象;とっしんげんしょう)」もみられます。 方向を転換する時の多歩(たほ;何度も踏みかえること)、後ろに下がることの困難、歩行時の手の振りがなくなることもあります。 振戦が片側にあらわれた初期の患者さんでは、一見片マヒのようにみえる足の引きずるような歩行が、ふるえがでている側に認められることもあります。 「すくみ足」は、古くからパーキンソン病の主要な徴候としてよく知られていたために、「すくみ足とは運動マヒなどの原因によらず足の裏が床面に接着剤で張り付けられたようになって歩けなくなる状態」という定義があるほどです。 4大症状の「無動」に分類されますが、単に動作がおそい、自発的な動作が減るのとは違い、複雑な現象のようです。 すくみ足の86%は歩行を開始したとき、45%が方向転換をするとき、25%が狭い場所を通るとき、18%が目標に近づいたときに生じるとされています。 すくみ足は一般に症状の進んだ患者さんにみられ、転びやすさに結びつく症状であるので、治療によって解消しようとしても、薬に体の抵抗があることも多く、治療困難な症状です。 床に歩幅に合わせた目印を置いたり、メトロノームで歩行リズムにあった音を与えると、それらに合わせて安定した姿勢ですたすた歩くことができるという奇妙な症状でもあり、「逆説的(ぎゃくせつてき)またはパラドックス歩行」といわれています。 パーキンソン病の振戦(しんせん)は意識しない時に出現しやすく、座って手を膝に置いているような静止時に、主に手指に、1秒間に4回から6回の、ややゆっくりとした震えが見られます。 動いているときには症状が軽くなったり、消えたりしますが、一定の姿勢を取りつづけると再び出現することが、よくあります。 出現部位は上肢(腕や手)が最も多く、次いで下肢(足、脚部)、顎(あご)などに見られます。 手足の振戦では、ふつう片側だけから始まり後に両側で起こるようになりますが、左右に差があり、最初に起きたほうが、程度が強いことが特徴となります。 頭全体に振戦があるときは、うなずくように縦に振る「ヨシヨシ型」になることが多く、頭が左右に細かくふるえる「本態性振戦(ほんたいせいしんせん;原因不明で、震えだけが症状の病気)」とは対照的です。 振戦は、パーキンソン病の4つの運動症状(他3つは、「無動」「筋固縮」「姿勢反射障害」)の中で最も特徴的な症状です。 パーキンソン病の診断基準でも、パーキンソンの症状(パーキンソニズム)として成立するのに、他の症状は2つ以上あることが条件となりますが、「典型的な左右差のある安静時の振戦」は1つで十分となっています。 つまり、振戦は、パーキンソン病にとって、特徴的であることを示していると言えます。 理由としては、神経難病である他の脳に変化のある病気、特に「多系統萎縮症」と薬剤が原因となるパーキンソン症候群(パーキンソン病のような症状の出る、別の病気)の運動症状は、非常にパーキンソン病に似ているとされていますが、 診断基準にあるタイプの振戦だけは、パーキンソン病以外の他の病気には、ほとんど見られないことから来ているようです。 また、安静時のみで動作時に消える振戦は、患者さんのQOL(生活の質)にあまり影響を与えないため、消失を治療の最優先の目標にしないことが多くなっています。 しかし、患者さんの生活上の支障となったり、消失を患者さんが希望する場合には治療してもらえるようになっていますので、医師らと相談してみるのが良いでしょう。 腸管(ちょうかん;小腸、大腸など)の運動は、機能的に以下の3つがあります。 パーキンソン病では、早期から自律神経の神経叢に、異常なタンパクのかまりである「レビー小体」というものが現れることが報告されています。 したがって、腸管の運動障害、とくに蠕動運動の低下は、パーキンソン病の「振戦など運動における症状」ではない症状、(非運動症状)の中でも、運動症状が出るより前から出る初期症状の重要なものと位置づけられています。 がんこなタイプも多く、長引くと、腸閉塞(ちょうへいそく、別名イレウス;腸管の内容物の通過障害が起きる)を引き起こす危険もあります。 また、 便秘はパーキンソン病治療薬の吸収を悪くするので、便秘を改善させることが運動症状の改善にもつながるといわれています。 多くのパーキンソン病の患者さんでは、水分摂取が少ないことが知られているために、普段から十分な食物繊維の摂取と毎日多めの水を飲むことが、便秘対策として重要となっています。 パーキンソン病の非運動症状の1つに、幻覚やうつ状態などの精神症状があり、発症する方の数は決して少ないものではありません。 パーキンソン病の患者さんは、夕方に、虫や人などの幻覚(正確には「幻視」)が見えることが、多くあるといいます。 軽い認知症がある場合に多いようです。 軽症のうちは、幻覚であることを本人も自覚していることが多いと言われています。 幻覚に対して、「お茶をお出しして」などと話していることもありますが、 家庭生活の上で、ご家族があまり気にならず、患者さんの自覚のある幻覚の場合はとくに治療は必要ありません。 一方、 幻覚に伴って妄想状態となるような強い症状もみられます。 妄想は、嫉妬妄想(パートナーが不倫していると思い込むなど)、被害妄想(お金を盗まれたと思いこむなど)が多く、修正不能で、周囲に恐怖を感じさせるものもあり、症状の強いものは、治療が必要になります。 脱水や発熱など体調の悪い時に、強い幻覚や妄想状態となりやすい傾向があるので注意が必要です。 また、パーキンソン病治療薬の多くは、精神症状に影響を与えているために、薬を減量するだけで、幻覚が消えることも多いようですが、薬を減らすと運動機能の症状が反対に悪化してしまいますので、バランスが難しいのが実情です。 しかし、パーキンソン病の診断後12年経過した方をみると、60%に認知症の症状があり、20年後では80%になるという研究もあります。 高齢者野場合は、「アルツハイマー型認知症」や「脳血管性認知症」が起きていて、原因がパーキンソン病でない場合もありますが、パーキンソン病自体で認知症になり、「認知症を伴うパーキンソン病」という診断名になります。 一方、 先に認知症があり、パーキンソンの運動症状(パーキンソニズム)が起こるものに「レビー小体型認知症」があります。 つまり、「認知症が原因でパーキンソン病のような症状が出る」、「パーキンソン病が原因で認知症の症状が出る」という、2つのパターンがあるわけです。 2つの病気は非常に類似しています。 パーキンソンが先か、認知症が先かによって診断名が決まるようなあいまいなルールもありますが 、2つが同一の病気であるかどうかは、まだ決定していないようです。 全体を「レビー小体病」として位置づけ、「レビー小体型認知症」、「認知症を伴うパーキンソン病」、「パーキンソン病」を一連の病気とする考え方もあります。 「レビー小体」とは、元々パーキンソン病で、変性を起こす「黒質」といったものをはじめとする脳の深いところにある神経細胞にあらわれる異常なタンパクの凝集物です。 あらわれる部位から「脳幹型レビー小体」ともいわれます。 「レビー小体型認知症」では、同じタンパクの病的な構造物が大脳皮質(だいのうひしつ;大脳の表面に広がる神経細胞が集合する層)にみられ、「皮質型レビー小体」とよばれます。 どちらのレビー小体も基本的には同じ物質ですが、厳密には、細胞内での密度や構造が少しずつ違うようです。 パーキンソン病の合併症には、以下の2つがあります。 厳密には、「パーキンソン病の症状や状態に関連する合併症」と「主として高齢者に多く、パーキンソン病と特に関連しない合併症」の2つがあります。 1. 肺炎;パーキンソン病患者の死因として、最も多いのが肺炎です。 通常の肺炎の他に、パーキンソン病の「嚥下障害(飲みこむことがうまくいかないこと)」からくる誤嚥性肺炎が特徴的です。 食べものが誤って気などに入るものの、むせない誤嚥がある場合は、特に多くなるようです。 肺炎は、寝たきりとなるきっかけになります。 2. 骨折;パーキンソン病のバランス障害(姿勢反射障害)による転倒によって起こります。 寝たきり状態の原因となることが多いです。 3. 窒息(ちっそく);パーキンソン病の自律神経障害による食事性低血圧(食後に起こる低血圧)では、失神することがあるため、食べ物による窒息の危険があります。 4. 悪性症候群 あくせいしょうこうぐん 進行期の発汗障害や体温調節障害により引き起こされる「発熱、意識障害、筋硬直(きんこうちょく)」を症状とする重症の病気です。 脱水の時に起こりやすく、命に関わることもあります。 5. 腸閉塞(イレウス);最も多い自律神経障害の1つである便秘がひどくなり、長期間続くことで発症します。 強い腹痛やおう吐を伴い、自宅や施設で医師が常時確認できないところにいる患者の方は、一般に入院が必要になります。 6. その他;パーキンソン病自体には関連しませんが、高齢な方の患者が多いため、死因となる合併症としては、悪性腫瘍(がん)、心臓病、脳血管障害の3つが一般の方と同じように多くなっています。 「特有のにおい」が診断の手がかりになる病気として有名なものには、糖尿病と乳児の「メープルシロップ尿症」などがあります。 どちらの病気も「甘いにおいがする」ことが特徴ですが、糖尿病では血中のケトン体増加により、呼気や体臭からにおいがして、「ケトン臭」とよばれています。 メープルシロップ尿症の場合は、尿中や汗の中に出てくる物質によるもので、メープルシロップのようなにおいがすることから病名が付けられています。 ただ、 パーキンソン病について、血中や尿中に「特有のにおい」の原因となるような物質は同定されていません。 一般血液や尿検査では、特徴のある所見は認められないことになっています。 ヒトのにおいや体臭を考える時、一般には呼気、汗、尿などに含まれる成分がにおいの原因であることが多いと考えられます。 パーキンソン病の患者さんに特有のにおいがあるという報道がありますが、「特有のにおい」というのが、具体的になっていません。 患者さんに共通の成分が出ているということは考えにくいと言えます。 仮に、非常に少ない量だとすると、その成分を科学的に特定できれば、診断に役立つ可能性はあります。 パーキンソン病に、発汗および皮脂腺(ひしせん)分泌異常もありますので、何らかの「におい」が共通してするという可能性が、ないとは言い切れません。 今後の研究の進展が期待されます。 【パーキンソン病関連の他の記事】 パーキンソン病の症状などについてご紹介しました。 「家族がパーキンソン病かもしれない」と不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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