ハロゲン 化 水素 沸点。 ハロゲン化水素の沸点について ハロゲン化水素の沸点は、HC...

フッ化水素(フッかすいそ)とは

ハロゲン 化 水素 沸点

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 1 H He 2 Li Be B C N O F Ne 3 Na Mg 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Al Si P S Cl Ar 4 K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr 5 Rb Sr Y Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe 6 Cs Ba ~ Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn 7 Fr Ra ~ ハロゲンは17族の元素すべてを指します、が実際問題に出るのはF,Cl,Br,Iの4つです。 アスタチンAtは全くといっていいほど問題には出ないんで、無視してていいです。 最外殻電子が7コなので、あと1コ電子があれば安定な希ガス配置になる。 単体としては共有結合によって希ガス配置となり、化合物としてはイオン結合によって一価の陰イオンとなりやはり希ガス配置になることで安定化します。 ハロゲンは族の中で最も頻出です。 4つの元素それぞれに対する単体及び水素化合物について、確かな知識をもつことが求められます。 まずは、それぞれの単体の性質を見比べてみましょう。 小 まず、状態と色は完璧に覚えましょう。 状態については、フッ素と塩素が気体で、臭素が液体、ヨウ素が固体です。 ちなみに元素の単体が常温で液体なのはこの臭素と水銀だけですね。 色についてもそれぞれ別の色をもつので資料集などを用いて感覚的に覚えてみましょう。 色は文字で覚えるよりも色そのものを見たほうが覚えやすいです。 積極的に資料集を利用しましょう。 融点と沸点は、数字そのものは覚える必要はありません。 ただ、下に行くにつれてだんだんと大きくなっていることぐらいは知っておいてほしい。 なぜそうなるかちゃんと説明できますか? 理論化学の最初の方で学習しているはずです。 ちょっと確認してみましょう。 まず、融点・沸点が高くなるというとは、分子間力が大きくなっているということです。 分子間力が大きいほど、分子間の結合を切るのに必要なエネルギーが必要とされるからですよね。 ではなぜ下に行くほど分子間力が大きくなるのかというと、それは分子量が大きいほどファンデルワールス力が強く働くからです。 酸化力は、よく問題にでます。 でも、酸化力が一番強いのはどれか?なんて簡単な問題はなかなか出してくれません。 たとえば、以下のような形で出てきます。 例題 次の反応のうち、進行するものをすべて選べ。 問題を解く前に、「酸化力」とは何かを確認しましょう。 「酸化力」とは、相手を酸化させることのできる力、ですよね。 自分が酸化するんではないですよ。 ここらへんがはっきりしていない人は理論化学の「酸化・還元」をしっかりと復習しておきましょう。 相手が酸化されるということは、自分は還元されるということ。 さて、還元とは電子を放出することですか?受け取ることですか? 受け取ることですよね。 つまり、ハロゲンにとってみれば単体が電子を受け取って陰イオンになることが還元そのものなんです。 以上をまとめると、 ハロゲンでは、、、酸化力が大きい=陰イオンになりやすい 問題を見ていきましょう。 まず a について。 塩素はCl-で陰イオン、臭素はBr2で単体ですね。 塩素は臭素よりも酸化力が大きいんだから、塩素の方が陰イオンの状態でいたい。 つまりこの時点で十分安定な状態なわけです。 だから、もしこの反応が進行してしまったら臭素が陰イオンで塩素が単体という不安定な状態になってしまう。 エネルギー使ってまでわざわざそんな状態にはならない。 だから、この反応は進行しません。 b 同様に見ていきましょう。 ヨウ素が陰イオンで塩素が単体。 ヨウ素よりも陰イオンになりたい塩素にとってこんな理不尽なことはない。 だからヨウ化物イオンから電子を奪い取って自分は陰イオンに、ヨウ素は単体になる。 安定な状態になることができました。 ですから、この反応は進行する。 c 同様に考えると、この反応は進行しません。 結局答えはb のみですね。 次に、各単体の詳細について触れていきましょう。 資料集でも代わりに文字で書いてあるはずです。 酸化作用が非常に強力で、水とも激しく反応してフッ化水素を生じます。 塩素の製法は頻出です。 これについては【気体】に書いてあります。 1つは酸化マンガン IV に濃塩酸を加えて加熱、もう1つはさらし粉に希塩酸です。 しかも発生装置についてもそのまま問題に出ることが少なくないです。 ここでは図が書けませんが すみません・・・ 資料集や参考書などで必ずチェックしてください。 2つの洗気びんのどちらが水でどちらが濃硫酸か、またなぜそうするか、それぞれの役目は何かなどすべて説明できるようにしておくこと。 化学系の学科を受ける人は何も見なくても実験装置が完璧に書けるようにしておこう。 塩素が水に溶けることで示す性質として、酸性と強い殺菌・漂白作用を示します。 塩素は水に少し溶けて、一部が以下のような反応をします。 原因はCl2そのものではなく、生じるHClOによる性質なんです。 ここで、塩素のオキソ酸について触れてみます。 センターではまず出ませんが、二次を受ける人は知っておいた方がいいです。 とりあえず名称と化学式くらい書ければ十分です。 また昇華性があり、加熱すると紫色の蒸気になります。 この性質を利用して、ヨウ素の精製が行われます。 昇華による精製実験装置もときどき見かけるので、資料集や参考書でチェックしておいてください。 ヨウ素は水に難溶ですが、ヨウ化カリウム水溶液KIには非常によく溶けて褐色の溶液になります。 これは、ヨウ素I2がヨウ化物イオンI-と反応して三ヨウ化物イオンI3-が生じるからです。 この話は難しい部類に入りますが、実は結構入試で出るので知っておきましょう。 最後に、化学2の多糖類でも出てくるヨウ素デンプン反応についても確認しましょう。 ヨウ素溶液をデンプン水溶液に加えると青紫色になります。 このことからデンプンの検出によく用いられます。 小学校の時に、切ったジャガイモにヨウ素溶液を垂らす実験しませんでした?あれがまさにこの反応なんです。 デンプンはらせん構造をしているため、この中にヨウ素分子が入り込むのが呈色の原因です。 強酸 まず共通点として、すべて有毒な無色・刺激臭の気体です。 また水によく溶けます。 特に塩化水素水溶液は、「塩酸」として有名ですね。 また水溶液中ですべて酸として働きます。 ただし、フッ化水素酸のみ弱酸です。 あとは全部強酸。 塩酸HClaqだけでなく、臭化水素酸HBraqとヨウ化水素酸HIaqも強酸であることに注意してください。 基本的に分子量が大きいほど沸点は上昇するはずですが、ハロゲン化水素の中で最も分子量が小さいはずのHFが最も大きい沸点を示す。 これはなぜか?理論化学をちゃんと勉強してきた人ならすぐに答えられますよね? 分子間が水素結合によって結合するためです。 HとFの電気陰性度の差があまりにも大きいがために、分子間力に静電気的な引力がプラスされる。 この水素結合はどの分子にも存在するファンデルワールス力よりもはるかに大きいから、分子量の小ささなど関係なくなってしまうわけです。 2 弱酸性 フッ化水素酸が弱酸であることも水素結合の存在によって説明できます。 弱酸とは、電離度が小さい酸のことです。 だからフッ化水素はほとんどが分子のままでいて、電離しているHFは少なくなるわけです。 ちなみに電離度は約0. 10です。 3 ガラスとの反応 ガラスの主成分は二酸化ケイ素SiO2です。 非常に安定で大方の薬品と反応しませんが、フッ化水素酸は反応します。 つまり、ガラスを溶かしてしまうんですね。 ですから、保存する際はガラス容器は使えません。 代わりに、ポリエチレン容器に保存することになります。 H2SiF6はヘキサフルオロケイ酸とよびます。 こちらの反応式は書けるようにしておくことをオススメします。 あまりにも有名なのでここではそんなに説明は加えません。 1 製法 まず製法ですが、塩化ナトリウムと濃硫酸を加えて加熱する、という方法が一般的です。 生成するのは硫酸ナトリウムNa2SO4ではなく、硫酸水素ナトリウムNaHSO4ですね。 2 アンモニアとの反応 それと、よく聞かれるのがアンモニアNH3との反応です。 だから、気体の問題で、「白煙が生じた」という文が出てきたらHClとNH3が反応しているんだな、と考えてまず間違いないです。

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ハロゲン・ハロゲン化水素の性質まとめ!【高校化学】 │ 受験メモ

ハロゲン 化 水素 沸点

ハロゲンの特徴 二原子分子で存在する ハロゲン族元素の原子は、価電子を7個もっています。 単原子では、閉殻構造にならないので、安定しません。 お互いに電子を1つ共有すると、それぞれの殻で、電子数を8にすることができます。 安定した状態で存在するために、2人で1つのバディを組んでるような感じがしますね。 特有の色を示し、有毒である フッ素・・・淡黄色の気体 塩素 ・・・黄緑色の気体 臭素 ・・・赤褐色の液体 ヨウ素・・・黒紫色の固体 フッ素・塩素は、学校の実験でやるような場合では、なかなか色はみれません。 有毒なので、純度の高いものを狭い実験室で、こどもたちのいるところで、つくるのは安全責任取れないですしね。 〈余談ですが・・・〉 なぜ有毒なのかを明記している文献を探せなかったので、予想ですが、 ハロゲンは、価電子の関係から電子を奪いやすい特徴があるので、様々な物質と反応性が高いため、その反応性が良すぎることが有毒であることに結びついているのではないかと考えました。 毒でいえば、薬も沢山摂取すれば、毒になると言われるように・・・。 そう言ってしまうと、使用するときの純度によるのでは?とも考えられますね・・・。 毒なんて、それだけじゃ認められないですよね。 何かにとって害があるから=毒っていう、相対的なものだとしたら、単体で毒ということは、それだけ酸化力が強いとか、攻撃性があるということでしょうね・・・。 わかったら、追記しますね。 原子番号が大きい物ほど融点・沸点が高い ヨウ素>臭素>塩素>フッ素 の順で、融点・沸点がともに高い特徴があります。 これは、 原子番号が大きくなるほど、分子間力が大きくなるからです。 固体>液体>気体 の順になっているので、納得しやすいと思います。 原子番号が小さいほど酸化作用が強い 二原子分子の話のときに、ハロゲン族元素の原子は、価電子を7個もっていると述べました。 安定した電子配置になるためには、電子が1つ足りないですね。 そのため、ハロゲン族元素の原子は1つ電子を受け取り、 1価の陰イオンになりやすい特徴があります。 電子を受け取る力=電子を奪う力であり、 さらに言い換えると、 相手を酸化させる力=酸化力 と表現できます。 ハロゲンは、原子番号が小さいほど酸化作用が強いです。 なぜかというと、原子番号が小さいほど、原子核と最外殻電子との距離が小さいからです。 磁石で例えると、そのまま近づけるのと、紙や布を間に挟むのとではくっつき強さが変わるようなイメージですね。 フッ素だけは、酸化作用が強すぎて、水を酸化してしまいますが、他の元素は水に溶けます。 塩素は、水中で塩化水素と次亜塩素酸が生じます。 ということはヨウ素液は、ヨウ素が水に溶けているから、ヨウ素水か・・・。 というと、違います。 ヨウ素は水に溶けにくく、ヨウ化カリウム水溶液には溶けます。 ヨウ素は、ヨウ化カリウムのイオンと反応して、三ヨウ化物イオンを生じて溶けます。 ハロゲン化水素 ハロゲンは水素と化合物を作り、ハロゲン化水素になります。 フッ化水素HF、塩化水素HCl、臭化水素HBr、ヨウ化水素HI いずれも無色透明で、刺激臭のある気体で水に溶けやすい特徴があります。 水溶性は全て酸性です。 フッ化水素は、フッ化カルシウム CaF 2 を濃硫酸 H 2 SO 4 と一緒に加熱することで得られます。 塩化水素は、塩化ナトリウム NaCl に硫酸 H 2 SO 4 を加えて加熱すると得られます。 濃硫酸があれば、加熱は要らないです。 それぞれの性質 F フッ素 名前の由来は、 英語の fluorite(蛍石)から。 原子番号:9 原子量:19. 00 融点:-219. フッ素は、単体では有毒ですが、虫歯予防やフライパンや傘にコーティング加工をするとものをくっつきにくくするお役立ちポイントがあります。 しかし、フッ素=虫歯予防で覚えるのは少し危険です。 昔、虫歯予防のために歯医者さんが、フッ化ナトリウム 無害 と間違えて、フッ化水素酸 有毒 を幼児の歯に塗布してしまい、死亡させてしまう事故がありました。 直塗りってこわくね・・・。 と思いますね。 歯磨き粉のフッ素だけで十分だと思っちゃいますね。 こわいこわい。 Cl 塩素 名前の由来は、 ギリシャ語のchloros(黄緑色)から。 原子番号:17 原子量:35. 45 融点:-100. 塩素には、漂白作用、殺菌作用があり消毒や漂白剤に使われています。 有毒なのに、大丈夫なの?と思いますが。 消毒用の濃度なので大丈夫です。 また、塩素は水道水にも含まれています。 塩素は、遊離塩素や残留塩素という項目で基準値が設けられています。 浄水場で作られた水が我々の家まで届く間に、汚染されないように、塩素が私たちを守ってくれているのです。 一方で、危険にもさらしてくれています。 第一次世界大戦で使用された毒ガスが塩素です。 これは、家でも簡単に作れるんです。 え?家に塩化ナトリウムと硫酸なんてないよ!とお思いのみなさま。 漂白剤に酸素系と塩素系があるのはご存じでしょうか。 酸素系漂白剤と、塩素系漂白剤を混ぜると塩素が発生します。 純度は低いと思いますが、風呂場のような狭く閉ざされた環境で混ぜてしまうと、塩素によって中毒を起こしてしまうので、注意して下さい。 ちなみに、mamiwaは屋外でその実験をやったことがあります。 その話は、また今度! mamiwaは、黄緑色の塩素がみたくて理系を選んだのですが、怖すぎるし、なんやかんや塩素の実験なんてやる機会はないままです。 色の付いている気体を見たいと、実験した先人たちはだいぶ命を削っていたようですが、欲をいえば見てみたいですよね。 ここだけの話、mamiwaが一番好きな元素は塩素です。 一番どうでもいい。 Br 臭素 名前の由来は、 ギリシャ語のbromos(刺激臭・悪臭)から。 原子番号:35 原子量:79. 80 融点:-7. 海水中にも含まれているらしいです。 一番応用例で有名なのは、ブロマイドです。 銀との化合物である臭化銀は、写真の感光剤に使われています。 デジタルではなく、アナログのカメラには欠かせないそうです。 I ヨウ素 名前の由来は、 ギリシャ語のiodestos(紫)から。 日本語読みの「ヨウ素」は、ドイツ語のJod(ヨード)から。 原子番号:53 原子量:126. 9 融点:113. ヨウ素といえば、ヨウ素デンプン反応。 青紫色になるやつですね。 ヨウ素には、放射性ヨウ素という放射性物質があり、これは人体の甲状腺に溜まりやすい 集積しやすい 特徴があります。 放射性ヨウ素はウランが核分裂するときにできます。 原発事故があったときに、安全ヨウ素剤を服用してもらって、放射性ヨウ素が甲状腺に集積するのに対策したという話が有名です。 服用には、注意が必要なので安易に手は出さないようにしましょう。 手だすひといないって。 また、日本が世界有数のヨウ素の産出国であることはご存じでしょうか。 千葉県で取れるそうです。 海藻によく含まれているそうです。 あとは、うがい薬に含まれています。 有毒にならないような消毒剤の形で作られているので、毒性は大丈夫です。 At アスタチン 名前の由来は、 ギリシャ語のastatos(不安定)から。 ハロゲン族の中で、唯一放射性を持ち、天然で存在するのは微量なので、人工で合成されることのある元素です。 寿命が短く、すぐに崩壊してしまうそうです。 不安定ですね。 医療分野で、活躍を期待されているが、不安定だから性質をなかなかあきらかにできず、未だ謎の多い元素なんだそうです。 名前が、アスタチンって可愛いと思います。 アスカちゃんみたいな。 まとめ ハロゲンは、有毒で有色の物質で、価電子が7個であるため、二原子分子で存在。 酸化作用が強い。 ハロゲン化水素は、水に溶けやすいく、同じく有毒である。 様々な分野で活躍しているが、扱いには十分注意が必要。

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ハロゲンとは:性質・状態・色などの特徴を解説

ハロゲン 化 水素 沸点

1 第 17 族元素 周期表において、第 17 族に属するフッ素 F ・ 塩素 Cl ・ 臭素 Br ・ ヨウ素 I などの元素を、総称して「ハロゲン halogen 」といいます。 語源は、ギリシア語の「 halo s 塩 」と「 gen 生むもの 」によります。 ハロゲンは、化学式中で「 X 」と表記されることが多く、任意のハロゲン単体は、「 X 2 」と表されます。 ハロゲンの原子は、最外殻電子配置が n s 2 n p 5 である元素 n = 2,3,4 ・・・ です。 外部から電子を 1 個受け取って、希ガスと同じ電子配置を作って安定化するため、 - 1 のイオン価を持つ陰イオンが、広く知られています。 ハロゲン単体は、一般的に有色で毒性が強いです。 ハロゲンを含む化合物でも、「ダイオキシン類」や「サリン」などのように、強い毒性を持つものが数多くあります。 ハロゲン単体の酸化力の強さは、電気陰性度の関係から、 F 2 > Cl 2 > Br 2 > I 2 です。 単体の毒性も、この順に強くなります。 室温では、塩素 Cl 2 は黄緑色で空気より重く、刺激臭のある気体です。 臭素 Br 2 は赤褐色の液体、ヨウ素 I 2 は昇華性のある固体です。 ハロゲンはその高い反応性のために、天然で単体 X 2 のまま存在することはなく、すべてが安定な化合物として存在しています。 1 TCDD とサリンの構造式 2 フッ素 i フッ素 F 2 「フッ素 fluorine 」は、天然には、蛍石 CaF 2 や氷晶石 Na 3 AlF 6 などのフッ化物の鉱物として存在します。 その語源は、英語の「 fluorite 蛍石 」に由来します。 フッ素 F は、全元素中で最大の電気陰性度を持つ元素です。 このため、多くのフッ化物は、イオン結合性を示します。 フッ素の単体は、二原子分子の F 2 として存在します。 常温常圧では、フッ素 F 2 は淡黄色で、特有の臭いを持つ気体です。 N 2 を除くすべての元素と直接反応します。 フッ素ガスを吹き付ければ、ほとんどすべての単体や化合物が、たちまちに炎上するのです。 例えば、フッ素 F 2 は、化学的に不活性であるはずの水 H 2 O や、ガラスの主成分である二酸化ケイ素 SiO 2 を酸化します。 今までに、多くの化学者たちがフッ素ガスの単 離に挑戦してきましたが、その酸化力および毒性の強さのために、ことごとくが失敗してきました。 例えば、イギリスの化学者であるハンフリー・デービーは、ボルタ電池を使った電気分解で、 1806 年からカリウム K 、ナトリウム Na 、カルシウム Ca 、ストロンチウム Sr 、マグネシウム Mg 、バリウム Ba 、ホウ素 B を次々と単離しました。 そして 1813 年、デービーは満を持して、フッ素ガスの単離に挑戦します。 しかし、漏れ出たフッ素ガスを吸い込んで、フッ素中毒になってしまいました。 デービーの能力を持ってしても、フッ素ガスは単離できなかったのです。 2 デービーは、ボルタ電池を使った電気分解で、様々な新元素を発見した さらに、アイルランドのクノックス兄弟は、フッ素ガスの単離実験中にフッ素中毒になり、一人は 3 年間寝たきりにな ってしまいます。 そして 1886 年 6 月 26 日、遂にフランスの化学者であるアンリ・モアッサンが、フッ化水素 HF の電気分解により、フッ素ガスの単離に成功します。 1906 年には、フッ素ガス単離の功績から、ノーベル化学賞がモアッサンに贈られています。 現在でも、基本的にはモアッサンの方法で、フッ素 F 2 は単離されています。 興味深いことに、蛍石の一種である「アントゾナイト」の中に、それまで自然界には存在しないとされていた単体のフッ素 F 2 が含まれていることが、 2012 年にミュンヘン工科大学の研究チームによって報告されました。 ちなみに、このときにモアッサンとノーベル化学賞を争っていたのが、周期表を発表したことで知られるロシアの化学者ドミトリ・メンデレーエフです。 メンデレーエフは、このとき一票差でモアッサンに敗れてしまいました。 ただし、モアッサンもこの実験で無傷という訳にはいかず、実験の過程で、片目の視力を失っています。 翌年、モアッサンは急死していますが、フッ素ガスの研究との因果関係は不明です。 3 モアッサンは、フッ素ガスを単離したあと、六フッ化硫黄 SF 6 などのような様々なフッ素化合物を発見している 一般的にフッ素 F 2 を保存する ときは、単体よりも反応性が穏やかな化合物の状態で保存されます。 保存容器には、化学的に安定なポリエチレン製の瓶や、テフロンコーティングされた容器などが用いられます。 ちなみに、フッ素 F 2 は、白金電極でフッ化水素 HF を電気分解することで得られます。 フッ化水素 HF は、ガラスに含まれる二酸化ケイ素 SiO 2 を溶かす性質があり、フッ化水素 HF の水溶液である「フッ化水素酸 フッ酸 」 は、ヘキサフルオロケイ酸 H 2 SIF 6 を生じて、ガラスを腐食させます。 理科実 験に使うガラス器具には、目盛りの付いたものがありますが、その目盛りを刻むのに、フッ化水素酸 HF を使っています。 7 〜 1. 2ppm の濃度で添加しています。 水道水フッ化物添加には、賛否両論の議論があります。 しかし、米国疾病予防センターは、「飲料水をフッ素化することは、 20 世紀における公衆衛生上の 10 の偉大な業績のうちの 1 つである。 地域の飲料水をフッ素化することは、過去 60 年以上に渡って、虫歯の発生率を下げる主要な要因であり続けている」と述べているなど、高い評価をしています。 また、フッ化水素 HF は、塩化水素 HCl などの他のハロゲン化水素と比べて、性質が異なる点がいくつかあります。 まず、希薄水溶液においては、フッ化水素 HF だけが、弱酸として振る舞います。 原子番号の大きいハロゲンほど、ハロゲン化物イオンとしてのイオン半径が大きくなり、共役塩基が安定になるので、酸性度が強くなります。 また、フッ化水素 HF は水素結合をするため、他のハロゲン化水素よりも沸点が高くなります。 さらに、ハロゲン化銀では、フッ化銀 AgF だけが水溶性であり、ハロゲン化カルシウムでは、フッ化カルシウム CaF 2 だけが沈殿を作ります。 これらはすべて、フッ素 F の特異的な性質です。 5 弱酸性 p K a = 3. 2 HCl - 85 強酸性 p K a = - 8 HBr - 66. 4 強酸性 p K a = - 9 HI - 36 強酸性 p K a = - 10 1982 年には、歯科治療用のフッ化ナトリウム NaF と間違えて、フッ化水素 HF を 3 歳の女児の歯に塗布してしまい、女児が急性薬物中毒のために死亡する事故が東京都八王子市で起きています。 フッ化ナトリウム NaF は、歯のエナメル質成分と反応して、歯の耐酸性を強化するので、虫歯予防の目的で、歯に塗布することがありま す。 NaF を 0. 6 〜 0. しかし、フッ化水素 HF の方は、皮膚に少し触れただけでも壊疽を起こすほどの猛毒であり、一般的に歯科治療に用いられることはありません。 2013 年には、ストーカー被害に遭っていた女性が、靴にフッ化水素 HF を塗られ、壊疽により足の指 5 本を切断する事態になったというニュースが話題になりました。 先述のフッ化水素 HF を塗布された女児は、激痛による痙攣で診察台から跳ね上がって転がり落ち、口からは白煙が 上がっていたといいます。 iii テフロン C 2 F 2 n 最も有名なフッ素化物は、「テフロン teflon 」でしょう。 テフロンの発見は、偶然の産物でした。 1938 年、デュポン社の研究員であるロイ・プランケットが、クロロフルオロカーボン フロン 冷媒を開発しようとしていたときに、テトラフルオロエチレンのボンベ内に、意図せぬ産物として発見したのです。 当初の研究目的からは大外れでしたが、テフロンは耐熱性や耐薬品性に優れ、強い腐食性を持つフッ化水素酸にも溶けないことから、結果的には画期的な大発見となりました。 「テフロン」という名称は、デュポン社の商品名であり、 IUPAC 系統名では、「ポリテトラフルオロエチレン」といいます。 テフロンは、現在までに発見されている物質の中で、最も摩擦係数の小さい物質です。 その耐熱性や耐薬品性から、フライパンやレインコートなどの表面加工から、軍用品や実験器具まで、様々な分野で利用されています。 体重 70 kg の成人の体には、約 100 g の塩素 Cl が含まれています。 塩化ナトリウム NaCl は、血液中に 0. 塩素 Cl を元素として正しく認識したのは、フッ素のときにも紹介した、イギリスの化学者ハンフリー・デービーであり、 1810 年のことでした。 当時、 フランスの化学者アントワーヌ・ラボアジエが、「すべての酸には酸素が含まれている」と主張したことから、塩酸は未知の元素の酸化物であり、塩酸がさらに酸化されて生じる気体は、「酸化塩素」と名付けられていました。 デービーは、塩酸から酸素を取り出そうと様々な実験をしましたが、どうしても酸素は得られません。 そこで、デービーは「酸化塩素」は単体だと考えて、「塩素」という名前に変えました。 また、塩素と水素を混合して火花を飛ばすと塩酸が合成できることから、「塩酸は酸素ではなく水素を含む」と考えるようになりました。 こうして、酸素を含まない酸もあることが分かり、塩素が発見されたのでした。 単体の 塩素 Cl 2 は、常温常圧では、特有の刺激臭を有する黄緑色の気体です。 塩素 Cl の語源も、ラテン語の「黄緑 chloros 」によります。 塩素ガスは非常に酸化力が強く、多くの金属や有機化合物と反応して、塩化物を形成します。 塩素 Cl 2 は、水に少し溶けて、その一部が自己酸化還元反応して、塩化水素 HCl と次亜塩素酸 HClO を生じます。 次亜塩素酸 HClO は、化学的に不安定な物質であり、水溶液としてのみ存在し、強い酸化作用があります。 そのため、塩素水は、パルプや衣類の漂白剤、水道水やプールの殺菌剤として用いられます。 水圧を利用して勢いよく水を噴出されるシャワーからは、塩素 Cl 2 が発生するようで、 シャワーを 15 分浴びることは、水道水を飲むより 7 〜 100 倍も有害とする結果が、アメリカで研究報告されています。 6 のように下方置換で捕集します。 このとき、二酸化マンガン MnO 2 は触媒ではないので、化学量論量加える必要があります。 発生した塩素ガスには、塩化水素 HCl と水蒸気が混じっているので、最初に水に通して、不純物である塩化水素 HCl を水に溶かします。 しかし、得られた塩素ガスには、まだ水蒸気が含まれているので、さらに濃硫酸 H 2 SO 4 に通して乾燥させます。 なお、塩素 Cl 2 は、工業的には塩化ナトリウム NaCl 水溶液の電気分解で作られます を参照。 6 塩素 Cl 2 の製法 塩素 Cl 2 は、塩基とも反応します。 例えば、塩素 Cl 2 は、水酸化ナトリウム NaOH や水酸化カルシウム Ca OH 2 と反応し、次亜塩素酸ナトリウム NaClO やさらし粉 CaCl ClO ・ H 2 O を生成します。 家庭用の塩素系漂白剤にある「混ぜるな危険」の注意書きは、この反応が起こることを示唆するものです。 この反応に関して、こんなエピソードがあります。 ある女性が、家にネズミが出没して困ると、隣人にぼやきました。 すると、隣人は善意から、ある案を授けました。 容器にトイレの便器用洗剤を入れ、そこに漂白剤を混ぜ合わせ、一晩室内においてごらんなさいと。 確かに、これならネズミを追い払うことができます。 ただ、隣人が言いそびれたのは、その混合物は、ヒトも追い払ってしまうだろうということでした。 それも永遠にです。 幸い、実験の様子を見にやって来た隣人が、意識を失いかけていた女性の命を救いました。 それは、 1915 年に第一次世界大戦中のドイツ軍と連合国軍が戦ったイープル戦線のことであり、このときに毒ガスを使用したドイツ軍の化学兵器部隊の司令官を務めたのが、ドイツの物理化学者であるフリッツ・ハーバーでした。 ハーバーは、 1918 年にノーベル化学賞を受賞し、高校化学でもアンモニア NH 3 を合成する「ハーバー・ボッシュ法」でその名を残しています を参照。 ハーバーは、ドイツへの愛国心から自ら従軍し、毒ガス開発に携わりました。 「戦争を毒ガス兵器によって早く終結できれば、無数の人命を救うことができる」と、ハーバーは考えていたのです。 第一次世界大戦において、各種毒ガス使用の指導的立場にあったことから、「化学兵器の父」と呼ばれることもあります。 7 ハーバーは、毒ガスの開発に熱心に取り組み、軍もハーバーを信頼して、毒ガスに関する全権を与えた 1915 年 4 月 22 日 、ドイ ツ軍が最初の毒ガス攻撃を開始しました。 ドイツ軍は、前線に 5,700 本もの塩素ボンベを並べ、風向きが敵陣方向変わったとき、すぐにボンベのバルブを開けて、一目散に退避しました。 ドイツ軍が放出した 168 t の塩素ガスは、緑色の雲となって、人が走るほどの速さで、連合国軍の陣地に向かって漂って行きました。 煙が塹壕の中に流れ込んだ途端、連合国軍の兵士たちの多くは視力を失い、胸をかきむしり、叫びながら倒れ、阿鼻叫喚の地獄絵図そのものに変わりました。 彼らの口からは、「にかわ」のような粘液が溢れ出しました。 塩素ガスを吸入すると、肺内部の粘膜が剥がれ、それが粘液となって気管を詰まらせ、肺に溜まってしまいます。 当時、毒ガスに対する防御策など何も持たない連合国 軍は、わずか 1 日にして死者 5, 000 人、重軽症者 15, 000 人を出す大打撃を受けて、前線は大きく塗り替えられました。 塩素ガスを吸引すると、まず呼吸器に損傷を与えます。 また、空気中である程度以上の濃度では、皮膚や粘膜を強く刺激します。 高濃度の被曝の場合は、外科的な処置をしなくてはまず助かることはなく、不可逆的な損傷を呼吸器に与えます。 高濃度の塩素ガスを吸引した場合は、人工呼吸器などの処置を行っても、数時間から 1 日程度で死に至ります。 低濃度の被曝の場合でも、長時間では呼吸器に損傷を与えるので、基本的には吸引しない方が良いでしょう。 8 第一次世界大戦のイープル戦線にて、ドイツ軍は塩素ガスで連合国軍を攻撃した ii 塩化水素 H Cl 塩化水素 HCl は、常温常圧下では、無色の刺激臭を持つ気体です。 工業的には、塩化ナトリウム NaCl 水溶液の電気分解によって生じる塩素 Cl 2 と水素 H 2 を直接反応させて作ります。 実験室では、塩化ナトリウム NaCl に濃硫酸 H 2 SO 4 を加えて発生させ、穏やかに加熱して反応を促進し、下方置換で捕集します。 このとき発生す る塩化水素 HCl には、加熱により発生する水蒸気 H 2 O が混入するので、濃硫酸 H 2 SO 4 を通じて乾燥させます。 9 実験室での塩化水素 HCl の発生と捕集 乾いた試験管に塩化水素 HCl を取り、これを倒立させて水に入れると、試験管内に水が入ってきます。 これは、塩化水素 HCl が水に溶けやすい性質を持っているためです。 この試験管内の液をリトマス紙で調べると、強い酸性であることが分かります。 塩化水素 HCl の水溶液を「塩酸」といいます。 これは、気体となった塩化 水素 HCl が、空気中の水蒸気を集めて細かい塩酸 HCl の霧となるためです。 このような性質を「発煙性 fuming 」といいます。 塩酸 HCl にマグネシウム片を入れると、水素 H 2 を発生して溶けます。 これは、マグネシウム Mg のイオン化傾向が、水素 H 2 よりも大きいからです。 胃粘膜は、「ムチン」という粘液で、胃酸から保護されています。 胃の内部は、 pH = 1 〜 2 の強い酸性で保たれているため、従来は、胃の内部は細菌が生息できない環境だと考えられていました。 しかし、「 ピロリ菌」と呼ばれる細菌 は、自 身が生産する「ウレアーゼ」という酵素で、胃粘液中の尿素 NH 2 2CO をアンモニア NH 3 と二酸化炭素 CO 2 に分解し、生じたアンモニア NH 3 で局所的に胃酸を中和することによって、胃へ感染しています。 この名は、「ヘリコプター」の翼に似た鞭毛を持っていることに由来します。 「ピロリ」の方は、胃の出口 幽門 を指す「ピロルス」に由来します。 この菌は、胃の幽門部から初めて見つかりました。 ピロリ菌は、胃の粘膜の中で、活性酸素を発生させます。 すると、胃の粘膜の保護作用が弱くなってしまい、 十二指腸潰瘍 や胃潰瘍の原因になると考えられています。 10 ピロリ菌の発見により、動物の胃に適応して生息する細菌が存在することが明らかにされた 消化性潰瘍の三大原因としては、「アスピリン」・「精神的なストレス」・「ピロリ菌」がよくあげられます。 一般的には、精神的なストレスが一番の原因だと思われがちですが、それだけで胃潰瘍ができるのは、極稀なケースです。 1980 年代前半までは、胃潰瘍の原因は、「精神的なストレス」が原因とされていました。 胃潰瘍の患者は、精神的なストレスで参っていることが多かったので、ほとんどの医師は、精神的なストレスによって、胃潰瘍が引き起こされると思い込んでいました。 しかし、ある事象 A が別の事象 B の前に起こったからといって、前の事象 A が原因となって、あとの事象 B が起きたと判断するのは早計です。 これだけでは、 A と B に「相関関係」はあっても、「因果関係」があるとは判断できないのです。 とにもかくにも、ピロリ菌が存在して初めて、胃潰瘍ができるとする学説が、現在の主流です。 「ピロリ菌は、ヒトが生まれたときから胃の中にいるのか」というと、そんなことはありません。 人の排泄物に紛れて出たものが、不潔な環境で、別の人の口から胃に感染していると考えられています。 日本人の 50 歳以上で保有率が高い理由は、戦時中や戦後の衛生状態の悪かった時代に、汚染された水や食事を介して、保菌されるようになったからです。 11 先進国と発展途上国の年代別ピロリ菌感染率 このピロリ菌の発見には、ドラマがありました。 ピロリ菌を発見したのは、オーストラリアの微生物学者であるバリー・マーシャルと、病理学者であるロビン・ウォレンでした。 マーシャルが胃炎の患者に抗生物質を投与すると、ピロリ菌が除去でき、同時に胃炎も消失しました。 このテスト結果に、ピロリ菌は胃炎だけでなく、十二指腸潰瘍や胃潰瘍の発症にも関与しているのではないかと、彼らは考えたのでした。 これを検証するため、マーシャルはチューブを自分の喉から胃に差し込み、胃壁の組織を採取しました。 これを検査し、マーシャルは自分の胃には、胃潰瘍もピロリ菌も存在しないことを確認しました。 胃壁が回復するのを待って、マーシャルは、 66 歳の慢性胃潰瘍の男性の胃袋から採取した「ピロリ菌の培養液」を飲み込みました。 このときの体験を「生肉に似た少し嫌な臭いがした」と、マーシャルは後に語ります。 マーシャルが期待したことは、このピロリ菌のせいで、実際に体の具合が悪くなることでした。 人類史上、自分から積極的に胃潰瘍になろうとしたのは、マーシャルただ 1 人でしょう。 もちろん、事前に予防策は取ってありました。 つまり、実験許可が下りないとまずいので、病院の倫理委員会には伝えなかったし、自分の妻にも事後報告しかしなかったのです。 12 マーシャルは、仮説を立証するために、慢性胃潰瘍の患者から取り出したピロリ菌の培養液を飲み込んだ 「ピロリ菌の培養液」を飲んでから最初の数時間、マーシャルは腹部の蠕動が増えたのに気付きました。 その後 1 週間は、何事もなく過ぎました。 8 日目の朝、マーシャルは少量の粘液を吐きました。 2 週間目には、母親がマーシャルの口臭に気付きました。 また、マーシャルは頭痛がして、イライラするようになりました。 10 日目に、同僚がマーシャルの食道から胃へと胃カメラを入れると、胃潰瘍の前段階である重度の胃炎が見つかりました。 マーシャルは大喜びで、「この胃炎から胃潰瘍が生じてくれれば、これから何年も論文の材料には事欠かないだろう」と思いました。 しかし、この実験について妻に話したところ、「抗生物質を飲むか、それとも家を出て 1 人で暮らすか」の厳しい選択を迫られてしまいました。 ピロリ菌はアンモニア NH 3 を発生させるため、息が非常に臭くなるのです。 妻は、マーシャルの口臭を酷く嫌がっていました。 マーシャルは抗生物質を選びましたが、実際には、これは不必要でした。 感染は、 2 週間後には自然に消失したからです。 明らかに、マーシャルの免疫系が、ピロリ菌に打ち勝ったのです。 このことは、ピロリ菌の蔓延の仕方とも矛盾がありません。 しかし、胃潰瘍が感染症だという説が、一般の医師たちにまで浸透するのには、さらに 13 年の年月が必要でした。 何百万人もの患者が、胃腸の専門医や外科医の処置を定期的に必要としていたし、製薬業界も儲かっていたからです。 特に製薬業界は、「胃炎が抗生物質によって数週間で回復する」という説を広めることには、ほとんど関心を示しませんでした。 製薬業界は、場合によっては何年間も飲まなくてはならない「ザンタック」や「タガメット」などの胃酸分泌抑制薬で、非常に大きな利益を上げていたからです。 当時、胃酸分泌抑制薬は、年間売り上げが 10 億ドルにも上り、世界の潰瘍治療薬市場は、 1994 年には 80 億ドルを超えていました。 その間、何百万人もの患者が、間違った薬を処方されたり、不必要な手術を受けさせられたりしました。 13 ザンタックは、ヒスタミンのアンタゴニストとして作用し、胃酸分泌を抑制する 当初、批判者たちは、胃潰瘍が感染症だとする説を、全く信じていませんでした。 胃潰瘍の原因は、心理的問題やストレスのせいだと、誰もが信じていたからです。 胃の中に細菌がいるという説については、強酸性の中で細菌が生きられるはずがないとされました。 恐らく決定的だったのは、当時マーシャルが研修医で、マーシャルもウォレンも、胃腸科専門医ではなかったことでした。 専門家でもないのに、何が分かるのかという訳です。 専門家が一笑に付したその発見に対して、 2005 年にノーベル生理学・医学賞が授与されました。 マーシャルの実験を契機に、他の病気についても、感染症ではないか見直そうという動きが起こりました。 現在では、統合失調症や心臓発作、リウマチ、糖尿病についても、細菌やウィルスが影響している可能性を疑って、盛んに研究が行われています。 しかし、これまでのところ、このような疑いで正しいと証明されたものは、ほとんどありません。 4 臭素 i 臭素 Br 2 「臭素 bromine 」は、地殻中に臭化物として存在します。 一般的に「室温」とされる温度領域で、液体状態の安定元素は、水銀 Hg m. - 38. - 7. ちなみに、ガリウム Ga m. 常温常圧では、臭素 Br 2 は赤褐色の刺激臭のある液体です。 14 臭素 Br 2 の単体は、赤褐色の刺激臭のある液体である 臭素 Br 2 は、フッ素 F 2 や塩素 Cl 2 ほどではないものの、酸化力が強いので、人体に対しては猛毒です。 また、臭素 Br 2 は水に少し溶け、その一部が自己酸化還元反応して、臭化水素 HBr と次亜臭素酸 HBrO を生じます。 これは、酸化力の強さが Cl 2 > Br 2 であり、逆反応より正反応の方が有利になるからです。 工業的にも、臭化物イオン Br - を含む水溶液に酸性条件下で塩素 Cl 2 を吹き込み、酸化された臭素 Br 2 を、蒸留精製することで製造しています。 ちなみに、塩素 Cl 2 でも同様の反応が起こりますが、塩素 Cl 2 は気体でコントロールが難しいので、臭素 Br 2 が好んで使われます を参照。 15 臭素 Br 2 とアルケンの付加反応 ii 臭化 水素 H Br 臭化水素 HBr は、常温常圧下では、無色の刺激臭を持つ気体です。 その水溶液は、強酸性の「臭化水素酸」です。 臭化水素 HBr は、臭化ナトリウム NaBr に濃硫酸 H 2 SO 4 を加えて、加熱することで発生します。 甲状腺ホルモンを合成するのに必要なため、ヒトにとっては必須の元素です。 海水中に含まれるヨウ素 I を、海藻は濃縮して蓄積します。 そこで、日本のように海藻を手軽に摂取できる国は問題ありませんが、海から遠く離れた国では、ヨウ素欠乏症が起こります。 ヨウ素 I 2 の単体は、常温常圧では、黒紫色の固体です。 ヨウ素 I 2 は室温で固体ですが、同族の臭素 Br 2 と同じく、かろうじて固体でいるだけです。 これは、ヨウ素 I 2 が昇華性を持つためで、元素名もギリシア語の「紫 iode 」に由来します。 日本語の「沃素」は、明治期にドイツ語の「ヨウ素 jod 」を「沃度 ようど 」と音訳したところからきており、漢字としての意味はありません。 16 ヨウ素 I 2 は昇華性があり、 紫色の濃密の蒸気になる ヨウ素 I 2 の反応性は、他のハロゲンの単体より穏やかで、酸化力を有するものの、それほど強くはありません。 ヨウ素 I 2 は、水にはあまり溶けませんが、ヨウ化カリウム KI 水溶液にはよく溶けます。 ヨウ素液は、デンプンの指示薬として用いられ、ヨウ素デンプン反応が起こるために、青紫色を呈します。 この反応は、ヨウ素滴定にも利用されています。 ヨウ素滴定では、ヨウ素 I 2 の入ったコニカルビーカーに、チオ硫酸ナトリウム Na 2 S 2 O 3 などの還元剤をビュレットから滴下し、ヨウ素 I 2 の物質量を定量的に求めます を参照。 そして、ヨウ素 I 2 がすべて消費されると、青紫色が無色になり、そこが終点となるのです。 ちなみに、ヨウ素デンプン反応が起こるのは、ヨウ素 I 2 がデンプンのらせん構造の中に入り込むと、デンプンからヨウ素 I 2 へ電荷の移動が起こり、「電荷移動錯体 charge - transfer complex 」を作ることによって、可視光領域に新しい吸収帯を生じるためです。 ヨウ素デンプン錯体は、青紫色の補色である黄緑色の光を吸収するため、ヨウ素デンプン反応では、青紫色を呈するのです。 また、呈色しているヨウ素デンプン錯体を加熱すると、ヨウ素 I 2 がデンプンのらせん構造から抜けるので、褐色に戻ります。 17 ヨウ素デンプン反応の原理 実験室的には、ヨウ素 I 2 は、ヨウ化カリウム KI 水溶液に塩素 Cl 2 を吹き込むことで生成します。 この反応液にヘキサンなどの有機溶媒を加えて水層を抽出すると、水に溶けにくいヨウ素 I 2 がヘキサンに溶けるので、ヘキサンは黒紫色になります。 そして、ヨウ素 I 2 を溶かしたヘキサンを留去すれば、ヨウ素 I 2 を単離することができます。 18 ヨウ素 I 2 は無極性分子なので、水 H 2 O よりもヘキサンなどの有機溶媒に溶けやすい 「日本は資源のない国だ」とよくいわれますが、実はヨウ素 I 2 だけは豊富です。 ii ヨウ化水素 H I ヨウ化水素 HI は、常温常圧下では無色の刺激臭を持つ気体です。 その水溶液は、強酸性の「ヨウ化水素酸」です。 ヨウ化水素 HI は、ヨウ化カリウム KI に濃硫酸 H 2 SO 4 を加えて加熱するか、ヨウ素 I 2 と水 H 2 O の混合物を冷却しながら、赤リン P を加えると生成します。 シュナイダー「狂気の科学 - 真面目な科学者たちの奇態な実験 - 」 東京化学同人 2015 年発行.

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